日本郵便は7月21日、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「グリーンイノベーション基金事業/スマートモビリティ社会の構築」プロジェクトのうち「商用利用される電気自動車・燃料電池自動車の大規模導入を実現するために必要となる運輸事業者における運行管理と一体的なエネルギーマネジメント等に関する研究開発」に、同社単独案件として「運行管理システム及びエネルギーマネジメントシステム構築・研究開発実証を通じた集配車両EV化等によるカーボンニュートラルの実現」が、また、物流事業者・自動車メーカーなど各社との共同案件として「商用電動車普及に向けたエネルギーマネジメントシステムの構築、大規模実証」が、それぞれ採択されたと発表した。
単独案件「運行管理システム及びエネルギーマネジメントシステム構築・研究開発実証を通じた集配車両EV化等によるカーボンニュートラルの実現」では、集配業務での環境負荷と業務効率を考慮した最適な業務計画を策定できる運行管理システムと、運行管理と一体的なエネルギーマネジメントシステムとを構築。両システムを活用し、地域特性に応じた集配車両(二輪車・軽四輪車)のEV化と充電インフラの最適配置をすることで、日本郵便が進めている配送車両のEV化を加速させ、2050年のカーボンニュートラル実現につなげる。
運行管理システムでは、AIとビックデータを活用して業務特性やEVの特性を踏まえた最適な業務計画と実行面での運行管理を実現。AIで配送先情報や渋滞情報等のビックデータを掛け合わせて最適な配送ルート等を計画する。また、業務中のエネルギー使用状況によって他の車両との業務の再配分や充電等を提示する。
エネルギーマネジメントシステムでは、運行管理と一体的なエネルギーマネジメントによって、充電時刻と充電量を最適化。AIで配送量と配送距離を予測し、車両の運行時間外を含め、エネルギー需給を踏まえて給電量と時間を最適化し、エネルギー使用効率を向上させる。
同プロジェクトでは、上記のシステムをシステムを開発したうえで、2024年度中をめどに地況の異なる複数エリアで小規模に実証実験を実施。その後、導入規模を拡大し、2030年頃までの社会実装を目指す。
実証エリアは、EVの性能に影響を及ぼす主要因である「気候条件」や、「走行条件」、「エネマネ要件」を考慮し、地域A(秋田県、北海道)、地域B(東京都、福岡県)、地域C(新潟県)、地域D(岐阜県)、地域E(沖縄県)の5地域とし、エリアごとに数局を実証候補に選定。車両はEV軽四輪900台規模、EV二輪1800台を投入する。
日本郵便は、政府が掲げる「2050年のカーボンニュートラル実現」に向けて、2030年度までに対2019年度比で温室効果ガス46%削減を目標としており、その一環として2025年までに軽四輪車1万3500台と二輪車2万8000台のEV化を計画している。今回採択されたプロジェクトを通じて、この取り組みを加速させ、2050年のカーボンニュートラル実現につなげる。