大和ハウス工業は9月28日、埼玉県三郷市と物流施設の「災害時等における一時避難施設としての使用に関する協定」を締結した。
この協定は、水害等の発生時に、大和ハウス工業の運営するマルチテナント型物流施設「DPL三郷II」と「同III」に対して、三郷市が市民の避難について協力を要請できるもの。具体的には、カフェテリア等の共用部を一時避難所として開放するほか、ランプウェイを使って乗用車のほか消防車などの緊急車両を上層階に退避させることができる。
三郷市は、東西に中川と江戸川が流れており、これらの河川が決壊した場合、2m程度の浸水被害が発生するおそれがある。現在、市では体育館などの公共施設や学校等を避難施設に指定しているが、免震装置や非常用電源装置等を備えた最新の物流倉庫が避難場所に加わることで、災害発生時の被災者支援をより強固かつ円滑に行えるようになる。
<左から大和ハウス工業の更科 雅俊 執行役員、木津 雅晟 三郷市長、同市マスコットキャラクター「かいちゃん」>
市役所で行われた協定の調印式では、木津 雅晟 市長が「三郷市では、今月8日未明に1時間あたり40mm超の大雨に見舞われ、職員が夜間の緊急対応にあたった。また、全国では台風14・15号によって多くの甚大な被害が発生しており、改めて常日頃からの水害への警戒と備えへの重要性を痛感した。市は2月に市政50周年を迎えた。これからも、より安心・安全で住みやすい街になるよう、防災力と災害対応力を強化していきたい」とコメント。
大和ハウス工業の更科 雅俊 執行役員 東京本店建築事業部長は「全国で95棟、669万m2のマルチテナント型物流施設を運営しているが、その第1弾となったのが2013年に開発したDPL三郷だった。その後、市内ではDPL三郷IIとIIIも竣工し、IとIIが満床、IIIでもテナント誘致が順調に進んでいる。最新の物流センターが地域住民の安全にも寄与することで、地域に根差した施設になっていければと思っている」と述べた。
大和ハウス工業が防災協定を締結するのは、三郷市で12自治体目。2019年に発生した台風で多摩川が氾濫した際には、東京都府中市のDPL国立府中で地域住民の避難を受け入れた経験がある。
■物流施設概要
「DPL三郷II」
所在地:埼玉県三郷市インター南3-4-1、3-4-2
敷地面積:2万6549.02m2
延床面積:6万6266.24m2
構造:鉄骨造・耐震構造
階数:地上5階
着工:2020年4月
竣工:2021年10月
「DPL三郷III」
所在地:埼玉県三郷市インター南3-2-1
敷地面積:3万4472.36m2
延床面積:8万5349.71m2
構造:鉄筋コンクリート造一部鉄骨造・免震構造
階数:地上5階建て
着工:2020年10月
竣工:2022年5月