LNEWSは、物流・ロジスティクス・SCM分野の最新ニュースを発信しています。





2022年度上半期の企業倒産/トラック運送業界99件で急増

2022年10月12日/調査・統計

トラック運送業界で、今年度に入り倒産が多発している。帝国データバンクが10月11日に発表した、2022年度上半期(4-9月)の企業倒産件数(負債1000万円以上の法的整理が対象)によると、トラック運送(一般貨物自動車運送)」会社の倒産は、2022年4-9月で99件発生。前年同期(65件)から約1.5倍と急増しており、4-9月期では過去5年で最多。燃料価格が大幅に上昇した14年度以来、8年ぶりの高水準で推移しているほか、SEHIRO(4月破産、負債約18億6000万円)など大型倒産も発生した。

<「トラック運送業界」倒産の推移>
20221012tdb1 520x284 - 2022年度上半期の企業倒産/トラック運送業界99件で急増

これを受け、帝国データバンクでは「トラック運送ではかねてからドライバー不足といった課題を抱える一方、ウクライナ侵攻以後の燃料コスト上昇と進まない運賃への価格転嫁など、折り重なる負担増に苦しむ。トラックの燃料となる軽油価格は今年に入り一時150円を超え、1年間で約20円上昇するなど急騰。一方で、収入となる成約運賃指数は近年ほぼ横ばい状態で推移しており、軽油価格の高騰に運賃上昇が追い付いていない。下請関係が多層に連なる同業界では『価格転嫁を認めてもらえない』といった訴えも相次いでおり、燃料コストが上昇したことで運賃交渉をしたものの不調に終わり、収益性の悪化に伴い倒産を余儀なくされた運送会社も複数発生した」と分析。

「2024年問題」をふまえ、「多くのトラック運送会社が『今まで運べていたものが運べなくなる』ことで売上減少が想定され、委託ドライバーを使用する会社ではインボイス制度対応による税負担の増加など課題は多く残る。対応できない中小零細のトラック運送業者ではM&Aによる再編や優勝劣敗が加速度的に今後進んでいく可能性がある」と予測している。

<2022年度上半期(4~9月)倒産動向>
20221012tdb2 520x160 - 2022年度上半期の企業倒産/トラック運送業界99件で急増

<年度半期別倒産件数推移>
20221012tdb3 520x435 - 2022年度上半期の企業倒産/トラック運送業界99件で急増

2022年度上半期の概況についてみると、倒産件数は3123件(前年同期2938件)となり前年同期から6.3%増加、2019年度上半期以来3年ぶりの増加となった。また、負債総額は1兆7657億9500万円(前年同期5784億7000万円、205.3%増)と、2017年度上半期以来5年ぶりに1兆円台を記録した。

<業種別件数>
20221012tdb4 520x195 - 2022年度上半期の企業倒産/トラック運送業界99件で急増

業種別では、小売業除く6業種で前年同期比増加。運輸・通信業(同133件→168件、26.3%、増)では、燃料費高騰やドライバー不足の影響を受け、道路貨物運送(同86件→113件)で増加が目立った。このほか建設業(前年同期512件→622件、21.5%増)が、年度上半期としては2008年度以来14年ぶりの2ケタ増を記録した。

今後の見通しとして、帝国データバンクでは「現状の倒産件数はリーマン・ショック時ほどの絶対数はなく、金融機関の支援スタンスもリスケ対応を含め柔軟に行われている。ただ、『円安』『物価高』『人手不足』の三重苦で、企業を取り巻く収益環境は一段と厳しさを増している」と分析。なかでも、「既に大幅な倒産増加が目立つ建設・運輸・サービスの3業界の動向には注意が必要」だとしている。

関連記事

調査・統計に関する最新ニュース

最新ニュース