ヤマトホールディングス(HD)と日本航空(JAL)は11月22日、持続的な物流ネットワークの構築に向け、2024年4月から運航開始する貨物専用機(フレイター)の運航路線および運航便数を決定した。
<受領済み機体の保管風景>
<機体デザインイメージ>
これに伴い両社は、同日プレス向けの説明会をオンライン開催。JAL 経営戦略部 Modal Innovation Project推進室の西尾真治 室長と、ヤマト運輸 経営戦略部 Modal Innovation Projectの下簗亮一 シニアマネージャーが登壇した。
<写真左からJAL 西尾真治 室長と、ヤマト運輸 下簗亮一 シニアマネージャー>
ヤマト運輸の下簗シニアマネージャーは、フレイター運航について「2024年問題をふまえ、トラックの代替えとなるような確定的な輸送を、両社で連携しながらやっていきたい」とし、運航路線の選定について「長距離区間においてトラックドライバーが不足するということを想定し、荷量の多い北海道や九州を中心に、現状でニーズが多い沖縄線を拡充した」と説明した。
フレイター運航路線は、4路線合計21便。内訳は、東京(成田/羽田)=北九州が9便、東京(成田/羽田)=札幌(新千歳)が10便、東京(成田)-沖縄(那覇)が1便、沖縄(那覇)-北九州が1便。最大搭載重量は28t/機(10t 車約5~6 台分)を想定しており、日中は成田空港、深夜便は羽田空港となる予定。搭載コンテナは、AAYコンテナ(メインデッキ)が14台、AKHコンテナ(ロワーデッキ)が10台。
なお貨物の内容については、「現状、宅急便で運んでいる荷物が中心となるが、もともと航空便で輸送する付加価値の高いものも対象となる。しかしあくまでトラックだけでなくJRやフェリーなど運び方の多様化の一環と考えており、料金付加は考えていない」と下簗シニアマネージャー。
<Airbus321-200P2F 機体改修部分イメージ >
<メインデッキカーゴドア>
<メインデッキ内>
使用するのはエアバスA321ceoP2F型機(中古旅客機)。現在、機体は3機のうち2機の受領を完了し、残り1機を2023年2月に受領予定で、旅客機から貨物専用機への改修作業については、2023年3月からシンガポールで順次開始する。また貨物専用機への改造プログラムは、ドイツEFW社と契約している。
なお運航会社は、今年1月の発表時点ではジェットスター・ジャパンとしていたが、JAL連結子会社のスプリング・ジャパンに変更する。これについてJALの西尾真治 室長は、「スプリング・ジャパンは中国のインバウンドをメインターゲットとしている。中国のゼロコロナ政策により、今後安定的な事業運営を継続していくためには、インバウンドだけでは立ちゆかなくなってしまう。2本目の柱として今回、本事業をヤマト様と担うこととした」と説明。今後、JALグループ内LCCの事業基盤を強化するとともに、2024年4月からの貨物専用機の運航開始に向け、同社グループ全体で準備を加速するとした。
説明会では今後、就航予定各空港において貨物専用機就航に伴い必要となる機材の導入・施設関連についても言及。2024年の就航に向けて運航に関連する要員や、貨物をハンドリングする要員など、両社ともに新規採用を進める。さらに「将来的には、国内の新たな路線を含め、国際線についても検討していきたい」と結んだ。