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いすゞ/初のBEVは物流事業者と共同開発、満を持して製品化

2023年03月07日/IT・機器

いすゞ自動車は3月7日、パシフィコ横浜で「ISUZU World Premiere 2023」と題するイベントを開催した。

<イベントの様子>
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<LEDを用いたダンスパフォーマンス>
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同社は、2023年の企業メッセージとして「加速させよう、『運ぶ』の未来。」を掲げ、グループで考え描く未来像を国内外に広く発信していく考え。今回のイベントはその第一弾で、同社初のBEV(バッテリー型電気自動車)「エルフEV」などの新型車を発表したほか、片山 正則社長や技術本部 開発部門の平尾 聡執行役員が登壇し、商用車についての同社の考え方等を語った。

<片山 正則社長>
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開会の挨拶では、片山社長が「『運ぶ』ということが世の中に与える影響は非常に大きい。世界のCO2排出のうち20%が運輸部門といわれているが、そこで使われるエネルギーがよりクリーンな物になれば、カーボンニュートラルはそう遠い未来の話ではない。まさに『運ぶが変われば未来が変わる』ということだ」と、トラックのクリーンエネルギー化の重要性を強調。

つづけて、「社会の血流である物流、そこで使われているトラックの半分近くをいすゞが担っており、その責任は非常に重大だ。これからも、より安全でドライバーにも満足してもらえる車づくりをしていかなかればならない。今後は、これまで築き上げてきた安心をベースに斬新さも求められる。安全性、ドライバーの労働環境向上、コネクテッド、カーボンニュートラル、これら世界中の物流にとっての大きな課題に対して、責任をもって応えていくことがいすゞの使命だ。今日のイベントでは、これから発表する新しい商品や技術がどのように運ぶの未来を加速させるのか、いすゞがどのように変わっていくのかをお伝えしたい」と挨拶した。

<クリス・ペプラー氏と片山社長によるトークセッション>
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続いて、檀上ではタレントのクリス・ペプラー氏をナビゲーターに迎え、片山社長とのトークセッションが行われた。

ペプラー氏から初のBEVを発表したことに質問が及ぶと、片山社長は「EVの車体そのものは3年前には完成しており、以降は複数の物流事業者にモニターとなってもらい、改善を施したうえでこのたび満を持して製品化にこぎつけた」と、製品化までの経緯を語った。

また、BEVのほかにもディーゼル燃料やCNG(圧縮天然ガス)、LNG(液化天然ガス)、水素などさまざまな動力源の商用車を並行して開発している理由について問われると、「商業車は用途や場所によって動力源にさまざまなバリエーションが求められる。エネルギー、社会インフラ、資源問題、これらが全て理想的に揃えばいずれ商用車はBEV、FCV、合成燃料等に収れんしていくものと思っているが、それまでには20年近くの期間があり、使われる国や地域を考えると、最新の電動車以外にもさまざまなパワートレーンユニットを提供する必要がある」と、理由を説明。

さらに、「脱炭素車ではBEVが一歩先行しているが、商業車の過酷な環境で使用され続けるにはもう1段、2段の技術的なブレークスルーが必要だ。燃料電池や合成燃料、水素燃焼も高いポテンシャルを持っており、これらでブレークスルーが起きれば一気に勢力図が変化する可能性がある。いすゞは世界で多くのアライアンスパートナーを有しており、それぞれのパートナーとのアライアンスを生かしながら、BEV一本に絞らずさまざまな動力源の商用車を追求していく」と、脱炭素車に関する今後の方針を示した。

<平尾執行役員>
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平尾執行役員からは、フルモデルチェンジをとげた小型トラック「エルフ」と中型トラック「フォワード」のコンセプトが説明された。エルフは今回が16年ぶりのフルモデルチェンジとなる。

平尾執行役員は「いすゞでは技術の進化や車型展開のさらなる広がりを見据え、多様なニーズに合わせてさまざまなコンポーネントや部品、デバイスなどの組み合わせを可能にする開発手法『I-MACS』を採用しており、これにより、エルフ、フォワードともにさまざまな動力源を搭載することができた。BEVでは、車両の操作系やレイアウトをディーゼル車と可能な限り共通化したことで、ディーゼル車と同様にさまざまな架装に対応している」と、独自の開発手法を用いたラインナップの展開手法を説明。

また、BEVの展開については、車両の販売だけではなく、顧客の導入検討から導入課題の解決、導入効果の定量化・拡大化の提案によるカーボンニュートラル実現へ向けたトータルソリューションプログラム「EVision」についてもあわせて提供していくことで、顧客のEV導入の課題解決をサポート。

さらに、2024年度中にエルフのウォークスルーバン「ELF EV Urban Transporter」の提供を予定しているほか、新普通免許に対応した新型車「エルフmio」については今回発表したディーゼル車のほか、今後はEVについても製品化を予定していると語った。

<片山社長と平尾執行役員>
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イベント終了後の質疑応答では、片山社長が先行する他社の商用BEVとの比較について「物流事業者との共同開発」と「車両の導入から運用までをトータルソリューションで提供」を差別化のポイントとして挙げた。

また、片山社長は物流の2024年問題について言及し、「日本の物流にとって大きな問題は、ドライバーの人手不足だ。今回発表した車両は、ドライバーに選んでもらえるための居住性や操作性はもちろん、より魅力ある車づくりを目指し、細部にまでこだわって作り上げた。いすゞの車両を通して、物流を魅力ある仕事に変えていきたい」と思いを述べた。

<エルフEV>
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<新型フォワード>
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<新型エルフの車内>
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<エルフハイブリッドのパワートレーン>
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<エルフFCV>
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<新型トランスミッション「ISIM」>
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