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公取委/荷主の優越的地位濫用「買いたたき」最多、777名に注意喚起

2023年06月01日/調査・統計

公正取引委員会は6月1日、令和4年度における荷主と物流事業者との取引に関する調査結果及び優越的地位の濫用事案の処理状況について発表した。

調査対象は荷主3万名(回答率61.5%)、物流事業者4万名(同44.8%)。荷主と物流事業者との間の物品の運送又は保管に係る継続的な取引を対象に書面調査を実施した。また、書面調査等の結果を踏まえ、現下の労務費、原材料価格、エネルギーコスト等のコスト上昇分の協議を経ない取引価格の据置き等が疑われる事案について、荷主101名に対する立入調査を実施した。調査対象期間は、荷主が2021年9月1日~2023年8月31日、物流事業者は2023年1月1日~同年12月31日。

<注意喚起文書を送付した荷主の業種別内訳>
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同委員会では、書面調査及び立入調査の結果を踏まえ、独占禁止法上の問題につながるおそれのあった荷主777名に対し、具体的な懸念事項を明示した注意喚起文書を送付した。注意喚起文書を送付した荷主の上位3業種は「協同組合」、「建築材料,鉱物・金属材料等卸売業」、「化学工業」の順。

<注意喚起文書を送付した荷主の行為類型別内訳>
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また、問題につながるおそれのある回答を行為類型別にみると、「買いたたき」、「代金の支払遅延」、「代金の減額」の順であった。

問題につながるおそれのある主な事例としては、「荷主は、大型トラックでなければ積載困難な量の貨物の運送を委託したにもかかわらず、中型トラックの運賃を一方的に適用した(飲食料品卸売業)」、「荷主は、自社の計算ミスを原因として支払を翌月に遅らせた(飲食料品卸売業)」、「荷主は、前日に発注した運送を当日にキャンセルしたが、物流事業者において既に発生した費用を負担しなかった(印刷・同関連業)」、「荷主は、物流事業者に対し、物流業務に附帯して輸入通関業務を委託するに際して、物流事業者に支払う手数料に比して極めて大きい額の関税及び消費税を立て替えさせた(生産用機械器具製造業)」、「荷主は、物流事業者に対し、積荷の缶製品を手作業で大型トラックに積み込ませているが、それに対する作業料金を支払っていなかった(化学工業)」など。

こうした荷主の優越的地位の濫用事案の処理状況については、令和4年度においては14件の注意を行った。14件の注意の業種は、共同組合(5件)、物品賃貸業(4件)、化学工業(2件)などとなっている。注意対象となった内容は、「代金の減額」が35件中11件と最も多く、次いで「代金の支払遅延」が7件、「不当な給付内容の変更及びやり直し」が5件となっている。

今後、公正取引委員会は、今回の調査結果について、関係省庁及び関係団体を通じて周知徹底を図り、違反行為の未然防止に向けた取組を進めていく。また、物流取引の状況を把握するため、引き続き荷主と物流事業者との取引に関する調査を実施していく。さらに、優越的地位の濫用に当たり得る具体的な事案に接した場合には、積極的かつ厳正に対処していくとしている。

同調査は、荷主による物流事業者に対する優越的地位の濫用を効果的に規制する観点から、独占禁止法に基づき「特定荷主が物品の運送又は保管を委託する場合の特定の不公正な取引方法」(平成16年公正取引委員会告示第1号)を指定し、その遵守状況及び荷主と物流事業者との取引状況を把握するため、荷主と物流事業者との取引の公正化に向けて継続的に行っている。

公取委/協同組合や食品メーカーなど573の荷主に注意喚起

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