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経産省/FCVは商用車有利、モビリティ水素官民協議会とりまとめ

2023年07月12日/IT・機器

経済産業省は7月12日、モビリティにおける水素の普及に向けて、2022年9月より水素供給側・自動車メーカー側・物流事業者側・荷主側・国・地方自治体といった関係者で将来像を共有し、それに向けて必要な政策を議論する検討会を行ってきたが、今般、その経過を中間とりまとめとして公表した。

<次世代自動車のマッピング>
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<電動化のタイプと有望なユースケース>
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電動化のタイプと有望なユースケースとして、FCVの場合、航続距離が長く、充填時間が短いため、移動距離が長い商用車(トラック、バス、タクシー)や社用車としての潜在性がある。具体的には、幹線輸送に用いられる大型トラックや、コンビニ配送などの稼働率が高い利用方法や架装(冷蔵冷凍車・ミキサー車等)での電気消費量が多い小型〜中型トラックではFCトラックの方が有望と考えられる。バスに関しては、走行距離が定まっている大型路線バスなどが有望と考えられる、としている。

政府目標達成に向けた車両の開発・供給見通しの試算では、2030年グリーン成長戦略の「30年電動車導入目標」「水素利用目標」達成に向けて必要となる車両供給の見通しを、様々な前提をおいて試算している。

FC小型トラックに関しては、2023年から限定導入した上で、2025年、2029年にモデルチェンジすることで、販売価格を低下させ、累計1.2万台〜2.2万の供給が必要と試算。FC大型トラックに関しては、2025年から先行導入した上で、2029年にモデルチェンジすることで、販売価格を低下させ、2030年までに累計5000台の供給が必要と試算。

FCバスに関しては、先行する路線バスについて、2025年頃にモデルチェンジすることで、販売価格を低下させ、200台/年の供給が必要と試算している。

一方、需要側の導入台数に関する見通しは、FCVについて具体的な導入計画ができている事業者は少ないのが現状。こうした中で、今回、協議会に参加する輸送事業者6社に2030年までの導入意欲をヒアリングした。

それによると、小型FCV・BEVに関しては、合計5700台程度、大型FCV・BEVに関しては、合計60台程度の導入意欲あり。 FCバスに関しては、都内を中心に合計200台程度の導入意欲ありとなっている。

水素供給コストの見通しの試算では、 いくつかの前提を仮置きした上で、最低限必要となる水素供給コストを試算。それによると、水素供給コストとユーザーの利便性はトレードオフの関係。具体的には、1台当たりの充填時間を短くするほど、水素供給コストが上昇する傾向にあり、また、平準化せずに一部の時間帯に充填が集中するほど、ピーク対応が必要となるため水素供給供給コストは上昇。こうしたトレードオフの関係を関係者間で考慮しつつ、需要の大きさや変動等に応じた適切な仕様の水素ステーションを整備することが重要だとしている。

有望なエリアや状況変化等に合わせた水素ステーションの整備については、現在、福島・関東圏・中京圏・関西圏・福岡に多くの水素ステーションが整備。また、グリーンイノベーション基金において、東京と福島が先行地域として選定。各輸送事業者・荷主のFC車両導入導検討が進むエリア及び当該エリアを結ぶ幹線に水素ステーションの整備を行う。その際、バックアップ対応等も考慮したステーション配置とする。また、想定されうる需要の状況変化にも柔軟に対応可能な⽔素ステーション仕様とする。

今後、地方・内陸部も含めた広範囲な需要のヒアリングを踏まえて、2023年度をメドに重点地域の精緻化を目指す、としている。

<FC化に伴う、荷台スペースの減少>
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車両規制の緩和では、ディーゼルから水素へ転換するにあたり、エネルギー密度の関係から同量のエネルギー確保のために必要な体積が増加し、商用車として重要な積載量が減少する。そのため、大型トラックにおいては水素タンク設置により荷台スペースが1m程度減少することとなり、運転手不足等を考慮すると、全長規制についての検討が求められている。

一方で、2022年4月1日より、一般的制限値を超過する特殊車両の通行に関して、オンラインで即時に通行可能か判別する確認制度が導入された。今後1年以内に、一般的制限値の規制緩和が必要かどうかも踏まえ検討していくとしている。

水素ステーションの開発状況については、今後普及が見込まれる大型FCトラックについては、既存水素STの充填速度では30分程度かそれ以上かかってしまうため、既存トラックと比して利便性が損なわれる可能性がある。そこで、充填時間を既存トラック並か、それ以下である10分程度とするために、大流量水素供給を可能とする大規模水素STの技術開発・実証を福島等で実施中だ。さらに、耐久性の高いホースの開発等の技術開発に取組み、コスト低減を目指す。

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