ヤマトホールディングス（HD）は7月27日、同日開催された取締役会において、人材教育を基幹ビジネスとするワールドホールディングス（HD）と戦略的な業務提携を締結することを決議した。併せてヤマトHDの完全子会社であるヤマト・スタッフ・サプライ（以下、YSS）の発行株式の51％をワールドHDの連結子会社であるワールドスタッフィング（以下、WSF）に譲渡する。株式異動実行日は2023年9月1日（予定）。今回の株式異動により、YSSはワールドHDの連結子会社となる予定。
＜ワールドHDの伊井田会長兼社長（左）とヤマトHDの長尾社長＞
同日、都内イイノホール＆カンファレンスセンターにおいて共同記者会見を行い、ヤマトHDの長尾裕社長ワールドHDの伊井田栄吉 会長兼社長が登壇した。会見では、まずワールドHDの伊井田会長兼社長が挨拶。「物流業界は労働人口の減少や働き方の多様化など、潮流の変化が生じている。ヤマトHDと連携し、両方の経営資源を有効活用していくことで将来的な競争力の確保を進めていきたい」と語った。
＜ワールドHD 伊井田会長兼社長＞
ワールドHDは1993年、各種業務のアウトソーシング請負会社として設立。現在、福岡県に本社を置き、国内160拠点、海外17拠点の計186拠点において人材教育、不動産、情報通信、農業公園の4つの領域でビジネスを展開している。2017年にはWSFを設立し、物流・倉庫・軽作業に特化した3PL事業での請負業務をスタート。なかでもコンソーシアムモデルを活用した物流倉庫の一括請負など、物流倉庫運営や人材育成に強みを持つ。ヤマト運輸においても人材派遣発注の管理代行を受託しており、実績を積み重ねている。
YSSは2002年に設立。ヤマトHDのOBや主婦、外国人など多様な人材が在籍し、人材紹介や軽貨物輸送などを行っている。今回の株式譲渡により、WSFはYSSの約14000名を迎え入れ、リスキリングなどを通じ価値ある人材として、物流のみならずWSFが展開するするものづくりや販売、農業公園などの職域においても働く機会を創出する。
＜ヤマトHD 長尾社長＞
ヤマトHDの長尾社長は、「YSSでは定年を迎えた社員の経験やノウハウをいかし、事業成長を支えてきた。働き方の多様化に対応し、働く意欲のある社員に職域を超えて働く場とリスキリングの機会を提供したい。人手不足が慢性化するなかで、人材を有効に活用することで社会貢献にもつながるのでは」と期待を込めた。
従来、YSSの派遣先は100％ヤマト運輸だったが、定年後の配置換えによりミスマッチが生じるケースもある。人材教育に実績のあるワールドHDと連携により、就業先の裾野を広げることも可能となる。
さらに、今回の戦略的業務提携において、ヤマトHDの人材活用にワールドHDが一歩踏み込むことで「今まで”自前主義”でやってきたが、いかに学ぶかということが大切。倉庫のオペレーションについても標準化していく必要があるが、まだまだ課題がある。提携により両社のシナジー効果が生まれることを期待したい」と長尾社長は展望を語った。
■移動するヤマトHD子会社（YSS）の概要
名称：ヤマト・スタッフ・サプライ
所在地：東京都中央区明石町 6-26 KPP明石町ビル 3Ｆ
事業内容：人材サービス業、軽貨物事業、教育事業、業務請負事業
資本金：150百万円
設立年月日：2002年1月31日
大株主及び持株比率：ヤマトホールディングス100％
■株式譲受人（WSF）の概要
名称：ワールドスタッフィング
所在地：福岡県福岡市博多区博多駅前 2-1-1
事業内容：人材サービス（物流・軽作業・コールセンター）
資本金：100百万円
設立年月日：2017年6月5日
大株主及び持株比率：ワールドインテック100％
