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ZOZO/自動化投資に100億円、新物流センターを初公開

2023年10月25日/物流施設

ZOZOは10月25日、茨城県つくば市で整備を進めていた同社最大規模の物流拠点「ZOZOBASEつくば3」が11月から本格稼働を開始するにあたり、同施設を報道陣に公開した。

<ZOZOBASEつくば3>
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同施設は、ZOZOの専用施設としてプロロジスが開発した「プロロジスパークつくば3」(敷地面積6万8500m2、地上5階建て延床面積13万7000m2)を賃借して開設。建屋は今年2月に竣工しており、設備の搬入・試運転等を経て、11月1日から本格稼働を開始する。

今後の商品取扱高の成長を見据え開設する5拠点目のZOZOBASEで、延床面積や商品保管数などの設備能力は同社で最大規模の施設。1時間あたり1万件の発送能力を有しており、同施設の開設でZOZOBASE全体の保管能力は1.3倍に拡大する。

<「t-Sort」を用いた仕分け作業>

同施設では、既存拠点の4倍となる100億円をかけて自動化を推進しており、既存拠点と比較して30%の省人化を実現した。

同施設に入庫された商品は、まず5階のトラックバースから庫内へ搬入され、検品等の作業を経て同フロアに設けた仕分けエリアへと搬送される。

ここでは、プラスオートメーションが提供する仕分けロボット「t-Sort」が500基稼働しており、仕分けが行われた商品はコンベヤで保管エリアへと自動搬送され、商品棚に格納される。コンベヤは横搬送のソーターのほか、1~5階までをつなぐスパイラルコンベヤが採用されていた。

<仕分後の商品を搬送するコンベヤ(中央)>
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<保管エリアの出荷棚>
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<シャトル&サーバーから出庫されるコンテナ>

一方、出庫時の作業フローとしては、まず、注文が入ると作業員が保管棚から商品をピッキングし、商品の入ったコンテナをコンベヤへ投入。コンベヤは2階にある「シャトル&サーバー」と呼ばれる設備へと続いており、同設備によって最大8万点以上の商品が一時保管され、出荷日が早い順にグループ分けが行われた後、再度コンベヤに乗って1階の出荷エリアへと搬送される。

<ポケットソーター>

1階の出荷エリアは、単品購入された商品と、複数点買いされた商品とで、出荷工程が分かれている。

このうち、セール等の期間に特に出荷量が増える複数点買いの商品の出荷工程は自動化が進んでおり、「ポケットソーター」と呼ばれる天井設置型の仕分け設備と、自動封函機が採用されている。

「ポケットソーター」は、豊田自動織機の子会社でオランダに本社を置くVanderlandeの製品で、欧州のアパレルEC大手Zalando(ザランド)等で採用されており、日本での採用はZOZOBASEつくば3が初。同施設で採用された中でも最も高額なマテハンだ。

同設備では、「シャトル&サーバー」から搬送された商品が1点ずつポケットに投入され、各ポケットがレーンを走行していく中で仕分けと荷揃えが行われた後、複数点の商品が揃った状態で梱包エリアへと届ける。

同設備では1時間あたり1万5000点の高速仕分けが可能、後工程となる封函とラベル貼り付けもあわせて自動化することで、スループットを向上させている。

<自動封函機>

<田代 将広 執行役員>
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ZOZOBASEつくば3について、ZOZOの田代 将広 執行役員(フルフィルメント本部管掌)は、「安定稼働と効率化が我々のミッション。将来的な人口減による担い手不足を見据え、100億円という規模の投資を実行し、効率化をコンセプトに自動化を推進した」と語る。

ZOZOでは、小ロット・多品種の商品に合ったソリューションが少ないことを理由に、既存拠点での自動化はごく一部に留まっていた。ZOZOBASEつくば3では、自動化によって既存拠点比で30%の省人化を実現。今後は、同施設で効果が確認された設備を他拠点に展開するとともに、アーム型ロボットについても自社に合ったものを検討するとしており、既存拠点のリプレイスも進め、さらなる効率化を追求する方針だ。

また、田代 執行役員は2024年問題についても言及し、「2024年問題への取り組みは企業としての責務。荷主としてできる取り組みはもちろん、配送をお願いしているヤマト運輸とも連携し、取り組みを加速させる」と方針を述べた。

ZOZOでは、再配達の削減に向けて受け取り方法選択時の初期設定を置き配に変更したほか、トラックの積載率向上のために、商品に合わせた適正な資材の選定や、複数点買いされた商品のまとめ配送の対象を拡大している。

ZOZOBASEつくば3では、1階の出荷エリアにヤマト運輸がターミナル拠点で採用している方面別の仕分けソーターを設置することで、同社の輸送効率向上に寄与しているほか、ZOZOBASEの増設による入荷能力の拡大によって、トラックの待機時間が削減される。

さらに、今後は現行よりも配達日時を遅くした配送サービスの実施を検討しており、「消費者の理解を得ながら、グループのアスクルがやっている手法も参考に検討していく。配送リードタイムを長く採ることで、モーダルシフトの促進にもつながるのではないか」(田代執行役員)と、取り組みへの期待を語った。

<休憩室(写真上:5階、下:1階)>
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■ZOZOBASEつくば3
所在地:茨城県つくば市御幸が丘34(プロロジスパークつくば3)
敷地面積:6万8500m2
延床面積(賃借エリア):13万7000m2
階数:地上5階建
竣工:2023年2月
稼働:2023年11月1日
発送能力:1万件/時
新規雇用:アルバイトスタッフ500人(うち50%超がつくば市在住)
電力種類:再生可能エネルギー由来の電力100%導入(太陽光・バイオマス由来ほか)

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