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プロロジス/40周年迎え、インド等で新たな展開示す

2023年10月25日/物流施設

40周年を迎えたプロロジスは10月25日、米国本社から4年ぶりにハミード R.モガダム共同創業者会長兼CEOを迎え、日本法人の山田御酒会長兼CEOと2人による記者会見を行った。

<会見後のモガダム共同創業者会長兼CEO(右)と山田会長兼CEO(左)>
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プロロジスは1983年にプロロジスの前身であるAMBプロパティコーポレーションを設立後、2023年で40周年を迎えた。

<モガダム共同創業者会長兼CEO>
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まずモガダム共同創業者会長兼CEOがグローバル市場について説明。同社の運用資産は29.4兆円、米国、その他アメリカ、ヨーロッパ、アジアの4大陸での延床面積は1億1400万m2と数字を挙げて説明。世界の上場物流不動産の時価総額ではトップとなっている。

新規参入となったインドでの展開では、「人口が大きく伸び活力のある国に成長しているインドに期待し、2006年に参入の検討をしたが、労働集約型の市場でコストも安く、州ごとに関税がかかったり、事務手続きが煩雑など環境が整わず、一旦休止していた。再度2008年に見直しを図り、それらの課題が解消されたことから、子会社のプロロジスインドを作った。来年早々物件開発に着手することになる。ただ、インドでの展開は今後楽しみであり、期待も大きいが、今は将来への種まきの期間と位置付けている」と話している。

また、同社の顧客(カスタマー)上位20社の中には、日本企業の日立製作所とブリヂストンが入り、アマゾン、フェデックス、DHL、BMW等、世界的企業がずらりと並んだ。それでも、全体での賃料に占める割合は19%だという。カスタマー業種では3PLが29%、小売りが23%、卸売りが21%、製造が16%、運輸が12%とどの業種にもバランス良く展開している点をモガダム共同創業者会長兼CEOは強調した。

続いて、Eコマースが物流施設需要を生み出す構造的な要因になったとし、「今後5年間にわたり、EC化率は毎年平均1%増加する見込み。Eコマースは従来型店舗と比較して、約3倍の物流施設面積を使用する結果となった」と分析した。

<山田会長兼CEO>
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続いて、山田会長兼CEOが日本の国内市場について解説。運営・開発中の施設は80棟、総延床面積は587万m2、開発実績113棟、取引先数(顧客数)は180社と今日までの実績を振り返った。同社が開発してきた先進的大型物流施設の割合をCBREの資料から2012年の1.9%から2023年6月末の6.8%と増加しているとしつつも、「この資料にはBTS型や小型施設が入っていないことから、実質的に12~15%くらいには達していると思われる。これでも欧米の半分程度なので、今後もまだまだ需要はあると思っている」と自信を見せた。

立地戦略・施設開発面では「関東、関西の都市部での展開を軸にやっており、マルチテナント型、BTS型、プロロジスアーバンの3種類で展開してきた。今後は2024年問題も絡み、一人のドライバーで1日で往復ができない距離では中継拠点等の開発も需要があると思っている。例えば仙台から青森までは片道360㎞なので、待機や渋滞、休憩時間を含めると、片道180㎞がシミュレーション距離となった。プロロジスパーク盛岡を中継拠点として利用すれば1人のドライバーが往復可能となる。このようなケースは顧客企業ごと、地域ごとに違ってくるため、顧客企業との綿密な打ち合わせが必要。プロロジスアーバンについては、現在都内に6か所展開しているが、基本は東京23区内を考えている。大阪等でも立地が良い物件があれば考えないことはないが、なかなかそういう物件はない」と話した。

一方、冷凍・冷蔵倉庫やデータセンターについては、その考え方のスタンスに違いがあった。「冷凍・冷蔵庫についてはBTS型で実績はあるものの、マテハン機器やシステム面で各企業間の違いが大きく、マルチテナント型での展開はとても難しい。でも、あきらめてはいない。データセンターについては、電力の供給の問題や地盤の問題、災害の多い日本ということもあり、基本的にやるつもりはない。ただ、グローバルでは多くの実績がある」と語り、それに応えて、モガダム共同創業者会長兼CEOが「グローバルではワシントンDCの政府機関のデータセンターも開発しており、2001年から20年以上にわたってデータセンターの開発に携わっている。データセンターニーズはクラウド需要、ビデオストリーミング需要の高まりもあり、資産価値も高いが、基本的には開発した物件は売却している」と説明した。

そのほか、プロロジスが今力を入れているのが「カスタマーの課題に寄り添う様々なソリューション」の提供のため、物流課題のコンサルティングサービスに注力していることだ。2022年実績では、20件となっている。同社だけでは対応できないため、パートナー企業との連携を図ると共に、プロロジスパークでのスタートアップ支援も行っている。さらに、共同輸送コミュニティを開催し、業種を超えたディスカッションの場を提供し、共同輸送による効率化を支援している。プロロジの早稲田大学への寄付講座等の人材育成プログラムも用意している。

山田会長兼CEOは「これらは、本来デベロッパーとしての業務ではないのかもしれないが、物流を支え発展させていくためにも今後も続けていく」と述べた。

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