丸紅アセットマネジメント（丸紅AM）が取り扱ってきた物流施設は数多いが、同社がアセットマネジメント業務を受託する私募ファンド等で開発した物流施設のブランド名が「LOGI PLACE」だ。中央道の八王子ICからわずか１.４㎞とアクセスもよく、首都圏配送の拠点として最適な立地を誇る「LOGI PLACE八王子」が本年3月末に竣工した。さらに、従業員の確保に大きな味方になるのが、倉庫内作業場に空調設備を備えていることだ。異常ともいえる東京の猛暑を乗り切るため、家庭でのエアコン利用は今や必須となっているが、倉庫内作業場ではまだまだ普及は進んでいない。物流現場で働く人達の環境を支える物流施設がここにある。
＜LOGI PLACE八王子の外観 東側からの全景＞
＜西エントランス夜景＞
現場の環境整備が第一義
現場従業員ファーストへ
東京の夏は湿度の影響もあり、猛暑や酷暑と表現されるように気温以上に暑く感じるようになって久しい。以前なら扇風機だけで寝ることも可能だったが、今やそれは無理な相談だ。暑い中、戸外で働く人たちにとってはまさに酷暑。これは倉庫内で働く人達にとっても同様だ。さすがに倉庫内事務室等では空調設備が整っているが、倉庫内作業場で空調設備が整っている物流施設は珍しいだろう。
＜空調設備設置の様子＞
その空調設備を倉庫内作業場に完備した物流施設が丸紅AMの「LOGI PLACE八王子」だ。既に、マルチテナント型物流施設のスタンダードはある程度定まってきており、大きな違いは見いだせなくなってきている。テナント側も、重視することは立地であり賃料というのも定番となっている。「アメニティの充実やカフェテリア等の設置も今や差別化は難しい状況です。何か他社との差別化を図らなければということで考えたのが、空調設備の庫内全作業場に設置することだったのです」と語るのは丸紅AMの高橋知子シニアマネージャー。
「現在、一番暑くなるであろう４階には120坪につき1基、3階だと150坪、2階だと180坪に1基という割合で設置しています。この施設の空調設備温湿度条件は、2～3階：40W/m2、4階：50W/m2としておりこれは標準的なオフィスでの熱負荷とほぼ等しいものを採用しました。外気温、荷物の種類、レイアウトや人員密度により異なる前提ではありますが、空調設置場所の作業スペースでは、一般的な快適温度と言われる・冷房時：約26℃～28℃、暖房時：約20℃～22℃をカバー出来るような出力で計算しています。ここ最近は本当に異常ともいえる酷暑で、人の命に関わるほどの気温になっていますね。倉庫施設自体は外気の影響を受けないように窓が少ない構造で、最新型のサンドイッチパネル等の採用で一般家屋ほどの急激な温度上昇はありませんが、それでも実際の作業場では危険な状況が生まれる可能性があります」と高橋シニアマネージャーは指摘する。
汗だくで働く環境は長らく物流業界が3K職場と呼ばれた所以だが、人手不足が深刻になりつつある現在、いち早く手を打ち、他の商業施設等との雇用獲得での競争に勝利するためにも、従業員への快適な作業環境の提供が不可欠な時代になってきている。空調設備の設置は従業員確保でも極めて有利な取組だろう。
なお、同社では空調設備を実際に稼働させ、実際の酷暑や猛暑の日にその温度変化の推移を確認して、今後より適正な設置台数も検証していく予定だ。特に、立地している八王子市は東京ではかなりの暑さと寒さを記録している地域として知られているだけに、ほとんど空調設備のない他の施設に対しては高いアドバンテージが得られると考えられる。ただ、それが賃料に反映されるならば別だが、「周辺の他の物流施設の賃料と比較しても、適正価格で割安感はあると思います。周辺の他の施設には負けない自信があります」とのことだ。そして、なによりも「一度猛暑の日に体験していただきたいと思っています」と内覧会などで体験してもらいたいと呼び掛けている。
＜トラックバース＞
＜搬送機・EV＞
八王子ICも16号も近く
配送にも雇用にも適地
「LOGI PLACE八王子」の特徴は、空調設備だけではない。立地や雇用面でも優位性を誇る。「八王子ICから近く、国道16号にも近く、関東周辺の配送にはまさに適地です。八王子ICまではわずか1.4㎞の近さです。東京都市部および 23 区西部から東京都心部、さらに埼玉県中西部や神奈川県平塚市までを含む約1180万人をカバーできる広域配送拠点」と高橋シニアマネージャーは物流適地であることを強調する。また、一般道のみを利用した場合でも、埼玉県入間市周辺から神奈川県厚木市まで約340万人をカバーできるという。
さらに、雇用環境にも優れていることが挙げられる。施設の近くには団地があり、主婦層の雇用も容易だ。八王子駅から自転車で 10 分圏内に位置し、その範囲には生産年齢人口が約 3.8 万人集まっている。特筆すべきは、周辺に大学が数多く、アルバイト等の募集も有利であることだ。物流施設の多くが交通の便の悪い、人家から離れた場所にあることが多いが、「LOGI PLACE八王子」に関しては従業員獲得にとても魅力的な立地だろう。「この場所は自動車教習所でしたので、元々人が集まりやすい場所でした」と言うように、そのための駐車場、駐輪場も都内の駐車場としては多めに確保している。普通車・小型車が107台（身障者用含む） 大型車待機場が4台、駐輪場が60台となっており、普通車駐車場の一部は2ｔ車も停めることができる。
＜女子トイレ＞ph9
＜太陽光パネル＞
また、アメニティ関係については、「トイレがとてもきれいです。特に女子トイレはお化粧直しのスペースを設けたり、自動手洗い器やウォシュレットもありますし、快適に利用することができます」と高橋シニアマネージャーは女性の立場からも女子トイレの素晴らしさを称賛する。
ただ、「LOGI PLACE八王子」には共用部として、豪華なカフェテリアや外部デッキといったものは存在しない。「リーズナブルでコンパクトかつシンプルな物流施設がコンセプトモデルでもあるので、ランチルーム等は各事務室にテナントさんが独自に用意したり、または、作業場も空調設備があるので、パーティーションで仕切ればランチルームに変更できるように、自由な展開ができます」と話す。
施設設備・設計面では、基本的な現代のマルチテナント型物流施設の標準に沿っており、荷物用エレベーター（ 3.5ｔ）4 基 、垂直搬送機 2基（1.5t ）を整備 、縦搬送をスピーディーに行うことが可能だ。館内照明はもちろんLED照明、太陽光パネルを設置して利用することで、環境保全へも配慮、自動化で急増する電力量増加にも対応する。さらに、BCPの観点から非常用発電機を設置 、停電時の非常照明 、EV 等を最大 96 時間バックアップ。倉庫や事務所の一部を稼働させることも可能だ。
最後に高橋シニアマネージャーは「物流施設を利用する方の視点から、従業員さんの働く現場環境の改善ということを念頭に開発を進め、ちょうど良い感じで快適に過ごせる物流施設になっていると思います。先ほども申しましたが、過剰なものは排除し、適正価格でなるべくシンプルな物流施設を目指したのが『LOGI PLACE八王子』です。その中でも必須としたのが空調設備でした。ぜひとも体感してほしいと思っています」と締めくくった。
＜詳細地図＞
＜高速道路アクセス＞
■概要
名称：LOGI PLACE八王子
所在地：東京都八王子市左入町 652-1他
交通：中央自動車道八王子IC：約1.5km
JR中央線八王子駅：約3.3km
構造：鉄骨造
竣工：2024年3月
規模：地上4階建
敷地面積：2万2730.66m2（6876.02坪）
延床面積：2万7054.37m2（8183.94坪）
用途地域：準工業地域
床形式：高床式1.0m
■搬送設備
荷物用 EV（1〜4号機）
かご内サイズ：W：3.0m×D：4.0m×H3.15m
出入口サイズ：W：3.0m×H3.0m
積載量：3.5t
垂直搬送機（1、2号機）
荷姿寸法：W：1.7m×L：1.5m×H2.5m
積載量：1.5ｔ
乗用 EV：２基
フォークリフト：カウンター式1.5t リーチ式2.0t 走行可（1〜4F 共通）
床荷重 1F〜4F：1.5t/㎡
天井高 一般倉庫（1〜3F ）：5.5m（梁下） ※通路部分等（ラック下）、一部5.5m切る場所あり
一般倉庫（4F）：5.5m（梁下）一部3.6〜5.5m
駐車場 普通車・小型車：107台（身障者用含む） 大型車待機場：4台
前面道路 北：8.0m
＜高橋 知子シニアマネージャー＞
■丸紅アセットマネジメント
https://www.marubeni-asset.com/
