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JILS/大きな転換期の中、物流システム機器の売上高過去最高水準

2024年09月18日/調査・統計

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日本ロジスティクスシステム協会(JILS)は、物流システム機器の市場動向に関する定量的で継続性のある統計(マーケットデータ)を作成するため、「物流システム機器生産出荷統計」の調査を実施しているが、このほど2023年度分調査の結果を発表した。

<図表3 総売上金額の推移>
20240918jils1 - JILS/大きな転換期の中、物流システム機器の売上高過去最高水準

<図表4 物流システム機器の総売上高(長期時系列)>
20240918jils2 - JILS/大きな転換期の中、物流システム機器の売上高過去最高水準

それによると、2023年度の物流システム機器の総売上金額は、2022年度の6139億1600万円から6330億3100万円へと増加(3.1%)となった(図表3)。また、売上件数は2022年度の11万429件から11万8357件へと増加した。

総売上金額は、前年度に引き続き6000億円を超え、過去最高水準となった。

これは、前年度から続く高水準の受注動向と一致する。また、前年度に引き続き売上件数が増加していることから、半導体不足が解消され、出荷が進みつつあるのではないかと推察される、としている。

<図表5 業種大分類別売上高の推移(左:金額ベース/右:構成比)>
20240918jils3 - JILS/大きな転換期の中、物流システム機器の売上高過去最高水準

売上金額を領域別に見ると、海外向けは昨年度よりも増加し、クリーンルーム向けは34.5%の増加となった。業種別に見ると、「電機・精密機器」に対する売上の比率が依然として高水準となっているほか、「輸送機器・部品」や「卸・小売」の業種の売上比率が昨年度より大きく増加している(図表5)。

各機種の動向をみると、自動倉庫は売上金額を見ると、前年度の1391億3400万円から2023年度は1320億円へと減少(△5.1%)した。機種別に見ると、バケット用自動倉庫(ユニット式)の売上金額が、820億4400万円から863億8200万円へ増加(5.3%)となった。またクリーンルーム向けについても、前年度の338億4100万円から382億600万円へ増加(12.9%)する結果となった。なお自動倉庫全体の基数(パレット数)については、255万2000パレットから173万1000パレットへ減少(△32.2%)している。

台車系は、2023年度については、1137億3800万円から1659億3700万円と増加(45.9%)の推移となった。一方で基数については、1万1429台から1万1499台への微増(0.6%)にとどまった。

コンベヤ系の売上高は、2017年度以降増加の傾向にあったが、2023年度は1611億2400万円から1467約6300万円へと減少(△8.9%)となった。

仕分け・ピッキング系は、2020年度に前年度から大きく売上が減少した。その後増加傾向にあったものの、2023年度は前年度の398億6300万円から297億1300万円へと減少(△25.5%)した。

回転棚・移動棚の売上高は、2019年度に大きく増加した後、売上が減少に転じた。前年度は売上が増加したが、2023年度は前年度の193億3300万円から192億1700万円へ微減(△0.6%)となった。

棚は、重量棚、中軽量棚、流動棚の3機種からなる。売上金額は前年度の336億2800万円に対して、2023年度は326億7700万円と減少(△2.8%)した。

パレタイザ/デパレタイザは、2018年度に過去最高水準の金額を示した以降、売上は減少傾向である。2023年度は、前年度の売上高114億7100万円から85億3400万円へと減少(△25.6%)した一方、基数については890台から980台へと増加(10.1%)した。

コンピュータは、物流システム機器の情報処理や在庫管理を行う、一般的に制御系の機能を含むコンピュータソフト・ハードと、WMS(倉庫管理システム)からなる。コンピュータ全体の売上金額をみると、2023年度は、前年度の434億8200万円から455億8100万円へと増加(4.8%)した。機種別に見ると、コンピュータ(ハード)が107億9900万円から100億1300万円へ減少(△7.3%)した一方で、コンピュータ(ソフト)は297億1400万円から328億2100万円へと増加(10.5%)した。

なお、「最後に」では、社会環境が目まぐるしく変化するなか、持続可能な物流の構築は、喫緊の課題となっている。また、近年の国や行政における法改正や政策決定等の動向に応じて、産業界に求められる対応も増えるものと想定される。ロジスティクス・物流は、大きな転換期を迎えているといっても過言ではない。物流システム機器業界として、産業界の持続的な発展に貢献するためにも、さらなる技術革新と標準化を推進し、安全で環境負荷の少ない物流システム機器を提供することが重要である、と締めくくっている。

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