全日本トラック協会物流ネットワーク委員会は9月30日、委員会に属する事業者の2024年問題を踏まえた特積み事業の長距離幹線輸送について、アンケート調査及びヒアリング調査を実施し、その結果を公表した。
それによると、全ト協の物流ネットワーク委員会で問題点の抽出と整理を行い、想定される論点について聞いたところ、様々な項目で問題点や課題の対応が3割から6割程度にしか進んでいない結果だった。パレット化については72.7%が行っていると答えたものの、車両のダブル連結トラック化は31.8%と低い数字となっている。
また、、幹線輸送ドライバーの実態として、平均的な1日の拘束時間は12時間、13時間という回答が最も多かった。平均的な1日の運転時間は6時間が最も多かった。また、平均的な1日の積み込み時間は、2時間が最も多く、次いで3時間となっている。さらに、平均的な1日の点検等の構内時間については、30分、次いで20分、15分の順に多かった。
長距離幹線輸送の課題で最も多く挙げられたのが、「休憩場所」の確保。現状でも不足感の強いSA/PAの拡充が必要で、とりわけ車両の大型化や将来的なダブル連結トラックの導入に向けてSA/PAの拡充は必須としている。位置的な面からも、各社同じような場所に拠点が設けられていることから、東京、大阪から4時間くらいの距離の場所に重点的なSA/PAの整備が求められるとしている。
適正運賃については、特積み事業は多くの協力会社があって成り立っていることから、下請運送事業者に対しても適正運賃をしはらわなければならず、現状は荷主との間で板挟みとなっているケースもある。この観点から荷主からの収受運賃の適正化は必須という。
場所の確保については、中継各社とも拡大の方向にある。中継拠点は距離的に東京~大阪の中間地点となる浜松近辺とする事業者が多いが、往復の荷量バランスが課題として挙げられている。また、協力会社では自社で中継拠点を整備することが難しい事業者も多く、個社レベルでなく、複数の事業者が利用しやすい施設整備も望まれている。これにより、協力会社の法令順守にも寄与するとしている。
そのほか、特殊車両通行許可申請の簡素化、鉄道フェリーダイヤの利便性向上、荷役作業の省人化についても課題が挙げられている。
緊急物資輸送/国交省、全ト協、県ト協、JR貨物等が連携して対応