日本通運と神奈川臨海鉄道主催で10月16日、「日産自動車 本牧～宇都宮 海上コンテナ鉄道輸送 出発式」を日産自動車、横浜市港湾局、日本貨物鉄道（JR貨物）を来賓に迎え、開催した。
＜出発式に参加した関係各社によるテープカット＞
この取り組みは日産自動車栃木工場向け自動車輸入部品の一部をトラック輸送から鉄道輸送へ切り替えるモーダルシフトとして、横浜本牧駅から宇都宮貨物ターミナル駅間での国際海上コンテナの鉄道輸送だ。
＜日本通運の杉山千尋副社長＞
日本通運の杉山千尋副社長は「導入背景として2024年問題による、ドライバー不足や働き方改革もあり、これは経済活動にも大きな影響が生まれている。また、脱炭素社会の実現も求められており、未来の地球を守るための行動が強く求められている。そこで、今回モーダルシフトをさらに推進することにした」と挨拶の言葉を述べた。
具体的には、日産自動車栃木工場で生産されるEVクロスオーバー「日産アリア」の生産用自動車輸入部品を積載した国際海上コンテナ/40ftコンテナを鉄道輸送専用コンテナに積み替えることなく、ダイレクトで鉄道輸送を行う。物流の効率化とともに、サプライチェーン上でのCO2排出量をさらに削減することも目的としている。日本通運の資産では、CO2排出削減量は年間140tを見込んでいる。
＜神奈川臨海鉄道の飯田聡社長＞
神奈川臨海鉄道の飯田聡社長は「会社設立は1963年でJR貨物グループの一員として、海上コンテナ鉄道輸送で実績を残してきた。この横浜本牧駅は労働生産性の高い40ftコンテナに適した場所。2024年3月ダイヤ改正において新設された、横浜本牧駅～宇都宮貨物ターミナル駅間での海上コンテナ鉄道輸送ルートにより40ftコンテナを週5日間、2本/日を基本として実施することになった」と説明した。
従来、国際海上輸送で広く利用される40ftコンテナは、長さが原因で、多くの貨物駅では取り回しが難しく、また、コンテナ留置スペースに限りがあることから、これまで一部の区間を除いて鉄道輸送が行われていなかった。そのため、40ftコンテナの港から内陸部への輸送は、トレーラーによる陸送か、鉄道輸送の場合は、鉄道用コンテナに積み替える作業が必要となり、輸送効率の低下やコストが課題になっていた。
＜出発式の様子＞
＜出発した40ftコンテナを積載した貨物列車（動画）＞
今後の展開では、実施初年度のオペレーション上の課題や天災などによる鉄道輸送への影響を踏まえながら、次年度以降は輸送コンテナ本数の拡大を目指す考えだ。引き続き両社は、物流の効率化や、環境負荷の低減を目的とした取り組みを積極的に進め、持続可能な社会の実現を目指すとしている。
