帝国データバンク(TDB)が10月31日、「日産自動車」のサプライチェーン動向調査・分析結果を公開した。
TDBの調査によると、国内有数の自動車メーカー「日産自動車」のサプライチェーン(供給網)は全国に1万9141社を数え、2025年2月と比較して57社増加した。
取引階層(Tier)別にみると、日産自動車と直接取引を行う「Tier1」が1800社、Tier1と取引を行う「Tier2」は1万2259社、「Tier3以降」は5082社だった。
サプライチェーン全体の企業のうち売上高が判明した企業を規模別にみると、Tier1では「10億~100億円未満」(584社、構成比33.5%)が最も多く、「1億~10億円未満」(555社、31.8%)が僅差で続いた。
Tier2、Tier3以降では「1億~10億円未満」が最も多く、それぞれ過半数を占めているほか、Tier3で以降では「1億円未満」の小規模企業も約3割を占めている。
サプライチェーン全体の企業総数でも、「10億円未満」の企業は1万3618社、構成比73.1%を占めており、中小企業がサプライチェーンを支えている現状が改めて浮き彫りとなった結果だ。
売上高が判明した企業を業種別にみると、Tier1 では「受託開発ソフトウェア業」が92社(構成比5.3%)で最も多い。
以下、「自動車部品・付属品製造業」(68社、構成比3.9%)、「その他の事業サービス業」(66社、3.8%)、「精密機械器具卸売業」(51社、2.9%)と続いた。
Tier2では、「受託開発ソフトウェア業」が512社(4.3%)でトップ。
以下、「自動車部品・付属品製造業」(474社、4.0%)、「一般貨物自動車運送業」(445社、3.7%)が上位となった。
Tier3以降では、「一般貨物自動車運送業」が493社(9.9%)でトップ、「金型・同部分品・付属品製造業」(232社、4.7%)、「金属プレス製品製造業」(203社、4.1%)と続いた。
サプライチェーン全体では、「一般貨物自動車運送業」が948社(5.1%)でトップ。「自動車部品・付属品製造業」(731社、3.9%)、「受託開発ソフトウェア業」(697社、同3.7%)と続いた。
売上高が判明した企業を都道府県別にみると、「東京都」が3088社(16.6%)でトップ、「愛知県」が2151社(11.5%)で続いた。本社や追浜工場がある「神奈川県」は2022 社(10.9%)で、「Tier1 」では350社(同20.1%)と東京都(744社)に次いで多くなっている。
本調査では、日産自動車のサプライチェーン企業は「東京」「愛知」「神奈川」をはじめとして全国に1万9141社存在し、うち売上「10 億円未満」の企業が7割超を占め、多くの中小企業がサプライチェーンを支えていることが改めて確認された。
また、2024年度以降の売上動向をみると、増収企業の割合は前期から8.3ポイント低下する一方、減収企業の割合は3.1ポイント上昇していることも判明した。
日産自動車の経営再建計画「Re:Nis s an」の推進により、今後、車両生産工場の再編と効率化、開発プロセスの刷新など経営再建に向けた動きが本格化していくなか、サプライチェーン再構築の影響を受ける事業者がでてくることが想定される。
サプライヤー各社の生き残りをかけた戦略転換、成長機会の創出も求められる一方、世界市場との技術開発・コストを巡る競争激化にトランプ関税の影響顕在化の懸念など、自動車業界およびそのサプライヤー企業の動向に対する注目はますます高まっている。
日産自動車サプライチェーン/下請けに一般貨物自動車運送の割合高
									
					
		
		
		


