帝国データバンク(TDB)は11月6日、2024年10月調査のTDB景気動向調査(全国)を発表した。
それによると、2024年10月の景気DIは前月比0.3ポイント減の44.3となり、4か月ぶりに悪化した。国内景気は、季節需要の低迷や節約志向の高まりが下押しし、上向き傾向が一服した。
業界別の「運輸・倉庫」では、0.7ポイント減で3か月ぶりに悪化。燃料価格の高止まりに加え、ドライバー確保の問題などが下押し材料となった。さらに「中国向け出荷が激減している」(港湾運送)というように海外経済の影響なども悪材料として挙げられた。
その一方で、貸切バスの利用拡大などは押し上げ要因となったほか、災害復旧関連の輸送需要があるといった声も寄せられた。
先行きについての企業の声では、「政治の不安定が景気を悪くする」(運輸に付帯するサービス)や「中国の景気低迷で輸出入の荷動きが低下する状況は続く」(運送取次)といった声のほか、「今後の人材不足やさらなる人件費・仕入価格の高騰の影響は続く見通し」(一般貨物自動車運送)という意見も挙がった。
今後は、個人消費の動向が景気の先行きを左右するとみられ、実質賃金の継続的な上昇がカギとなろう。さらに、金利や為替レート、株価などの金融市場の動向などにも注目が集まる。また、政局の不安定化や米新大統領の経済政策の行方も注視する必要がある。
プラス材料としては、観光産業の回復や人手不足に対応する設備投資の実行、リスキリングの浸透、生成AIの普及、半導体の需要拡大などがあげられる。
一方で、物流コストの上昇やインフレの進行、中東情勢などはマイナス材料となろう。
今後の景気は、下振れ懸念を抱えつつも底堅く推移していくとみられている。
TDB景気動向調査/3か月連続で景気改善 運輸・倉庫は過去1年で最高に