帝国データバンク(TDB)は10月3日、2024年9月調査のTDB景気動向調査(全国)を発表した。
それによると、2024年9月の景気DIは前月比0.3ポイント増の44.6となり、3か月連続で改善した。国内景気は、インフラ整備の工事拡大や外出機会の増加などで上向き傾向が続いた。
業界別の「運輸・倉庫」では、0.4ポイント増で2か月連続。過去1年間では最も高い数値となっている。特に大企業では2か月連続の改善となった。「猛暑により預り在庫が増加している」(冷凍倉庫)や「震災復旧に関連する仕事がある」(特定旅客自動車運送)など、自然現象の影響によるものもあった。さらに、「荷主に対し料金改定の要請をして一部認められたため、増収となった」(普通倉庫)といった声もあり、収益の改善も見られた。
他方で「原油の高止まりや原料高により輸送貨物量が減少」(一般貨物自動車運送)などの声が、マイナス材料としてあげられている。
先行きについての企業の声では、「マイナス要因がなく、為替も円高にぶれてきている」(集配利用運送)という期待の声もあるが、「内需が悪く、コスト転嫁が追い付いていない」(港湾運送)や「中国景気の停滞や、物価上昇、人材不足による影響は続く」(組立こん包)といった不安材料も挙がった。
今後は、実質賃金の継続的な上昇、金利や為替レート、株価などの金融市場の動向などが注目される。観光産業の回復やDXの推進、GX政策の拡大のほか、人手不足へ対応する設備投資の実行は好材料となろう。さらに、生成AIの普及や半導体の需要拡大もプラス要因となる。
一方、2024年問題にともなう物流コストの上昇やインフレの進行、家計の節約志向、拡大する国際的な緊張などは下振れ材料となる。また、石破政権による経済政策の内容や米大統領選の行方は注視すべきであろう。
今後の景気は、個人消費や企業の設備投資などが下支えし、底堅く推移していくとみられている。