帝国データバンクは2月3日、倒産リスクの高い企業についての分析結果を発表した。
企業が1年以内に倒産する確率を10段階のグレードで表す指標「倒産予測値」をもとに特にリスクが高い企業(グレード8~10)を「高リスク企業」ととらえ、分析を行った。
倒産予測値算出対象の国内企業147万社のうち、2024年12月時点で高リスク企業は全体の8.6%にあたる12万6960社だったが、2023年12月時点の12万7280社と比較すると320社の減少となった。
業種別で倒産リスクが高いものを見ると、「職別工事業」が1万4301社と最も多く、2番目に多かったのは「運輸業」の1万1828社であった。
また、5番目に多い「飲食料品小売業」においては、物流費の上昇を価格転嫁できない企業の淘汰が進んでおり、物流費が他方に影響を及ぼしていることが伺えた。
運輸業は高リスク企業が多い業種として挙げられえており、倒産件数は471件、前年比7.0%と微増であった。
高リスク企業は1万1828社と24.4%の大幅減であったが、依然1万社を超え、燃料高や人手不足による労働力減少などの厳しい経営環境が窺え、高リスク企業の割合も25.3%と高い水準であった。
経営者の高齢化も進んでおり、倒産だけでなく休廃業・解散企業も706件(前年比8.3%増)と増加している。こうした背景から事業を継続・成長させるための手段としてのM&Aも進んでいる。
荷主側の理解もあり、価格転嫁は徐々に進んでいると聞かれるが、他社乗り換えを危惧し強く価格交渉できないなど業界構造の特性は未だ拭いきれない。
2025年4月で働き方改革関連法の適用(2024年問題)から1年が経過するため、改めて影響を見つめ直し、取引の適正化が行われる必要がある。
注目業種の高リスク企業割合について過去からの推移をみると、「飲食店」「飲食料品小売」「運輸業」は2023年と比較すると低下した。
しかし、コロナ禍前の2019年と比べると高リスク企業の割合は2倍以上に増えており、高止まりしている。
コロナ禍を経て、経営改善が進む企業がある一方、依然として厳しい企業も多い。
人手不足の中で採用が進み業績が回復する企業もあれば、価格転嫁が進まず財務改善が難しい企業もあり、優勝劣敗が鮮明になっている。
過去からの各種支援で延命してきた「ゾンビ企業」推計20万社超の淘汰も進み、人手不足や価格転嫁、資金調達への対応次第で市場の新陳代謝が加速するだろう。
しかし、市場の変化は新たなビジネスチャンスを生みだす。企業がこの変化を「変革の機会」と捉え適応できるか否かが、今後、生き残りに向けたポイントのひとつになるとみられる。
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