セイノーラストワンマイル(SLO)は9月19日、コミュニティー配送や自家物流的な領域のラストワンマイルも日々の暮らしを支えるものと捉え、PostLink AllianceやHanaLogiを通じて、こうした領域を整理し、社会全体の物流品質に貢献していくと発表した。
現在、従来の「宅配便」「メール便」という二つの分類だけでは捉えきれず、現場には多様化に伴う課題が山積している。SLOはこの新たな領域を支える仕組みづくりに挑んでいる。
各分野の特徴とSLO事業会社の役割として、ネットスーパー宅配では、SLO事業会社のココネットが担当。ネットスーパー宅配は、注文から数時間以内に商品を正確かつスピーディーに届けることが求められる分野。特に、需要が集中する時間帯への対応や、安定した人員確保が大きな課題となる。
店舗との連携からラストワンマイルの運営(配送現場やお届けに付随する運営)まで一気通貫で対応している。地域に根ざした担い手ネットワークと自社運営による品質管理で、安定した配送サービスを実現している。
置き配ではSLO事業会社のLOCCOが担っている。置き配は、非対面で完結する配送スタイルであり、再配達削減や顧客利便性向上につながる一方、建物ごとのルール管理や盗難防止・天候対応など、きめ細かな対応が必要。
建物ごとの置き場所情報やルールをデータベース化し、現場スタッフが安心して置き配を実施できる仕組みを整えている。都市部での非対面ニーズ拡大にも柔軟に対応し、安心・安全な置き配サービスを推進している。また、2024年の調査結果では、届けた商品の約10.4%が再配達となっている。LOCCOでは再配達率が2.8%であり、配達1個を一般的な宅配サービスからLOCCOに変更することで、平均して” 樹齢30年の杉の木が1か月に吸収する分のCO2 “の排出削減ができるため、環境へ配慮したサービスとしての価値も提供している。
コニポス(小荷物配送)はSLO事業会社の地区宅便・日祐が担当。ECやサブスクリプション商品の拡大により、宅配便よりも小型で高頻度な荷物を効率的に届ける新サービスが求められている。「コニポス」は、これまで培ってきた細やかな投函・仕分け・誤配防止のノウハウを活かしている。
さらに、この新しい小荷物配送を地域全体で持続可能な仕組みにするため、地域配送会社とともに「PostLink Alliance(ポストリンクアライアンス)」を始動した。
PostLink Allianceは、地域に根差した配送事業者とSLOが協力し、複数の荷主の荷物を共通の配送ネットワークで運ぶことで、地域全体で効率性と品質を両立させる共創の仕組み。
これにより、地域での小荷物配送市場の活性化と持続可能なビジネスモデル構築を目指している。今月9月には北関東、東北エリアへとネットワークを拡大し、その後東海・中国・四国・九州エリアへも展開を予定している。
フリーペーパー配布・地域のショートワークはSLO事業会社のリビングプロシードが担う。フリーペーパーやチラシ配布は市場全体として縮小傾向にあるが、地域に密着した情報を届ける重要な役割を果たし続けている。全国8000人以上の「エリアパートナー」と呼ばれている、地域に根付いたスタッフによるお届け事業を展開している。エリアパートナーは単に配布を担うだけでなく、地域をキーワードに、地域住民に近い立場で様々なショートワークにも携わっている。
また、ラストワンマイルを担う人材不足は、物流業界全体の大きな課題。SLOはこの課題に対し、ドライバー育成プログラム「HanaLogi」を立ち上げた。「HanaLogi」は、配送業務に必要なスキルだけでなく、接客・安全運転・地域とのコミュニケーション力までを育成する包括的なプログラム。
これにより、配送現場の担い手不足を解消するとともに、地域に根差したプロフェッショナルを輩出する。