帝国データバンクは9月22日、2025年1~8月の全国企業「休廃業・解散」動向調査結果を発表した。
これによると、同期間で休廃業、解散を行った国内の企業は4万7078件となった。前年同期の4万3071件と比較して9.3%増となり、3年連続で増加している。
2024年以降、休廃業、解散の件数は増加ペースを加速させており、年間では現行基準で集計を開始した 2016年以降で最多だった前年を上回り、初めて年7万件台に到達する可能性があるという。
また、同期間に休廃業となった企業のうち、保有資産の総額が債務を上回る「資産超過型」の休廃業が占める割合は、64.1%と2016年以降で最高となった。
一方で休廃業する直前期の決算で当期純損益が「黒字」だった割合は49.6%となり、8月までの速報値で初めて50%を下回り、集計を開始した2016年以降で過去最低を更新した。
なお、「黒字」かつ「資産超過」状態での休廃業が判明した企業の割合は全体の16.2%を占めた。2025年の休廃業・解散動向は総じて、直近の損益が悪化した企業が多い点が特徴となっている。
業種別で見ても、その他を除く7業種すべてで前年から増加。最も件数が多かったのは「建設業」の5938件で、前年比6.5%増となっており、年間では2016年以降で最多を更新する可能性があるという。
また、「運輸・通信業」(494件、10.5%増)では、特にトラック輸送などを中心とした運輸業での増加が目立っている。
2025年の休廃業・解散動向は、12年ぶりに年間1万件台への到達が見込まれる企業倒産と同様、増加傾向で推移している。ただ、企業倒産件数に比べると休廃業・解散件数の伸び率は高く、企業の「退出」がさらに加速している。
特に、平常時であれば安定した事業継続が可能な「資産超過」の割合が過去最高となった一方、損益面で「黒字」の割合が低下するトレンドが前年に比べて強まっており、余力があるうちに事業を畳む動きが広がっている。
廃業すらできない状態へ至るよりも、M&Aなどを活用してあらかじめ経営資産を第三者に引き継いだうえで、事業を畳む方が望ましいという「前向きな廃業」の考え方は、今後さらに広く浸透していくものとみられ、年間での休廃業・解散は7万件台への到達も予想される。
倒産集計/8月の倒産件数751件、「運輸・通信業」8月は過去10年で最多


