帝国データバンク(TDB)は7月15日、2024年度の「平均年間給与」動向調査結果を発表した。
結果によると、2024年度決算期(2024年4月-25年3月期)の全上場約3800社における平均年間給与は671万1000円で、4年連続で前年度を上回った。2023年度の651万4000円に比べて19万7000円、3.0%増となり、平均給与・前年度からの増加額、伸び率ともに過去20年で最高となった。
人手不足を背景とした処遇改善目的の賃上げ機運が高まったことなどから、上場企業における平均給与額は上昇傾向が目立っていた。
産業別にみると、上場する製造業で平均681万2000円(前年度661万円、20万2000円増、3.1%増)、非製造業で平均665万1000円(前年度645万8000円、19万3000円増、3.0%増)となった。製造業・非製造業ともに、平均給与額および前年度からの増加額は過去20年で最高。
このうち、最も平均年間給与が高い業界は「海運業」(1052万3000円)で、全業界で唯一1000万円を超えていた。平均給与額が1400万円台の「商船三井」「日本郵船」(東証プライム)をはじめ、対象となる海運企業すべてで上場企業平均を上回る水準だった。
前年度から最も伸び率が高かった産業は「陸運業」で、13.7%増の645万円だった。集計可能な2003年度以降で、初めて陸運業の上場企業平均で600万円台を記録した。
宅配便などの物流企業のほか、鉄道・バスなど旅客輸送を含む陸運業では、ドライバー不足の解消を目的に、大卒初任給や既存給与テーブルを大幅に引き上げる動きが目立ち、各平均給与にもこうした賃上げの動きが反映されたとみられる。
現状は人手不足や物価高を背景に賃上げが進む一方、今後は米国の関税政策が影響し業績悪化のリスクも考えられる。持続的な賃上げの動きが続くか、2025年度の給与動向が注目される。
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