スズケンとNECは2月17日、2024年3月稼働予定のスズケンの卸物流拠点「首都圏物流センター」の自動化・省人化を目指し、NECのAIや物体認識などの先進技術を活用した「入荷伝票入力の自動化」と「梱包品棚卸の自動化」の実証実験を2021年7～11月にかけて実施したと発表した。
＜スズケン 首都圏物流センター（プロロジスパーク草加）＞
スズケンの首都圏物流センターは、「プロロジスパーク草加」2・3階部分の延床面積6万7000m2を賃借して開設予定。医薬品のGDPガイドラインに準拠した物流体制の構築と自動化・省人化によって、物流品質向上と業務効率向上の両立を目指している。
実証実験では、物流センター内での入荷伝票入力と棚卸作業について、精度向上と効率性の両立について評価・検証を実施。その結果、有効性を確認するとともに、さらなる業務効率化に必要な知見を獲得した。
＜システム概要図＞
「入荷伝票入力の自動化」では、NECのAIを活用したOCR（Optical Character Reader：光学文字認識装置）を使用し、439書式中204書式と、半数近くの納品伝票で90％以上の入荷伝票入力の自動化を達成。入荷伝票入力に要する業務時間を75％削減可能であることを確認した。
OCRに納品伝票6000枚以上の画像を学習させることで、従来型のOCRでは正確な読み取りが困難であった記載文字を高い認識率で読み取ることが可能となった。また、AIを活用したOCRでも認識できない入荷伝票については、一人のスタッフがリモートで入力することで、遠隔地から複数の物流センターの業務に対応することが可能となった。
＜システム概要図＞
「梱包品棚卸の自動化」では、紙の帳票やハンディターミナルなどを使い人手で対応していた梱包品の棚卸作業を、ベルトコンベアのライン上に設置したバーコードリーダを活用し100％の自動化を達成した。
あわせて、NECの同時物体認識技術を活用し、バーコードリーダが撮像した段ボールなどの梱包品の画像データを事前に画像登録したマスタデータと照合して梱包品を個別認識することで、包装変更の確認が可能となった。また、同時に梱包品の側面に記載されているロットや使用期限、賞味期限等の情報を画像データからOCRで読み取り、自動的にシステム登録することが可能となった。
今後、スズケンとNECは、ロボットを活用した運搬作業やフォークリフトの自律・遠隔制御によって、物流センター内のさらなる自動化・省人化を目指すとしている。
