帝国データバンク(TDB)は10月3日、全国2万5546社を対象とした2025年9月の国内景気動向を調査・集計、発表した。
それによると、2025年9月の景気DIは前月比0.1ポイント増の43.4となり、小幅ながら4か月連続で改善した。
国内景気は、猛暑特需の一巡や企業収益の下押し圧力が一部で強まったが、好調な建設需要やデジタル投資の拡大で持ち直し、上向き傾向が続いた。
9月は、公共工事の発注増と各地の再開発が建設関連の景況感を押し上げた。日経平均株価が過去最高値を更新したなか、デジタル関連の設備投資意欲も堅調だった。月後半が好天に恵まれ、個人向けサービスも上向いた。
他方、猛暑特需の一巡に加え、原材料・物流コストの高止まりが続いた。仕入単価の上昇の販売単価への転嫁が再び遅れはじめ、企業収益への下押し圧力が増してきた。
今後の国内景気は、家計の実質購買力の行方に注目しつつ、当面横ばい傾向での推移が見込まれる。
業界別では、10業界中『不動産』『建設』など5業界で改善した一方、『小売』『運輸・倉庫』など4業界で悪化と、景況感が二分した。
前月までの猛暑による特需が一巡するなか、不動産需要や堅調な建設需要がけん引し景気を押し上げた。また、活発な IT 投資なども好材料となったほか、旅行需要は宿泊業を中心に底堅く推移した。他方、原材料価格の高止まりは幅広い業種で悪材料となった。
「運輸・倉庫」では43.2となり前月比0.7ポイント減、3か月ぶりに減少した。「年間の第二繁忙期ということもあり、物流量が増大している」(一般貨物自動車運送)、「例年通りであれば上期に物流量が動く」(普通倉庫)といった時節的に上向きになる意見が見られた一方で、「値上げにより業績は上向いてきたが、取扱量が増加したとは言えず、先行き不安は解消できていない」(港湾運送)、「売り上げは好調だが、人件費など諸経費の高騰に追いついておらず、減益となる状況が続く見通し」(特別積合せ貨物運送)など、将来的に不安を覚える声もあった。
TDB景気動向調査/運輸・倉庫は2か月連続で増加、全体的に上向き景気