帝国データバンク(TDB)は9月3日、全国2万6162社を対象とした2025年8月の国内景気動向を調査・集計、発表した。
それによると、2025年8月の景気DIは前月比0.5ポイント増の43.3となり、3か月連続で改善した。
国内景気は、米国の関税政策に不確定要因が残るものの、猛暑による川上から川下までの特需や全国の建設需要がけん引し、上向き傾向が続いた。
8月は、記録的猛暑の影響で飲食関連や熱中症対策商材、エアコンなどに特需が生じ、幅広い業種に波及した。日経平均株価が過去最高値を更新するなど、金融市場は活況だった。公共工事の発注が続き建設需要も堅調に推移したほか、旅行関連は好材料。一方でトランプ関税をめぐる日米合意後の混乱は外需の逆風となったほか、屋外レジャーの低迷や価格転嫁の遅れも下押し要因だった。
今後の国内景気は、実質賃金の行方を見極めつつ、当面は横ばい圏での推移が見込まれる。
業界別では、『製造』『建設』『小売』など9業界で改善、『サービス』のみ悪化した。
お盆休み期間の賑わいなどから飲食関係は川上から川下まで幅広く改善したほか、季節需要や全国各地の建設需要も景気を押し上げる要因となった。加えて、運輸関係は貨物・旅客輸送ともに一定の需要を確保した。
一方で、人材確保が難しく技術者の不足や物価上昇の圧力に対して価格の転嫁が進まない点などは悪材料となっていた。
「運輸・倉庫」では43.9となり前月比1.0ポイント増、2か月連続で増加した。「博多港取扱の外国貿易コンテナが輸出入ともに順調」(集配利用運送)、「中国への製造装置輸出や自動車関連の輸出入が若干復調」(沿海貨物海運)といった声が聞かれた一方で、「自動車産業の集積地では、トランプ関税の影響で減産状態が継続」(普通倉庫)など、トランプ関税の影響に言及する意見も見られた。
TDB景気動向調査/運輸・倉庫は2か月ぶり悪化、建設の低迷で物流停滞