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TDB景気動向調査/運輸・倉庫2か月ぶりに悪化 コスト増が要因に

2025年01月09日/調査・統計

帝国データバンク(TDB)は1月9日、2024年12月調査のTDB景気動向調査(全国)を発表した。

<全国の景気DI>
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それによると、2024年12月の景気DIは前月比0.1ポイント増の44.5となり、小幅ながら2か月連続で改善した。年末需要がプラスとなった一方で、燃料価格の上昇が下押し要因となるなど、わずかな改善にとどまった。今後は実質賃金の継続的な上昇が焦点となるなか、横ばい傾向で推移すると見込まれる。

<業界別の景気DI>
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業界別の「運輸・倉庫」では、前月比0.2ポイント減で2か月ぶりに悪化。年末の繁忙期に伴い輸送量の増加がみられたが、ガソリン補助金の縮小や原油価格の高止まりなど経費増加がマイナス材料となった形だ。

これに加え、ドライバー不足や確保のための人件費増加も下押し要因となっている。

現状についての声では、「年末のため、輸送量が増加している」(特別積合せ貨物運送)というプラスの意見のほかに、「原油価格の高止まりと乗務員の労働時間短縮、慢性的な人員不足、最低賃金の上昇などで非常に厳しい運営環境」(一般貨物自動車運送)、「円安の影響が大きく、商品の荷動きが悪化。自社も同業者もある程度値上げは進んでいるが、それ以上にコストが上がり収益的に厳しい」(港湾運送)というコメントもあり、陸運海運問わずマイナスの声も見られた。

先行きについての企業の声では、「冷凍食品の増加や冷凍技術の向上傾向は続く見通し」(冷蔵倉庫)といった需要増に関する声や「値上げ要請に応じて頂ける顧客が増えてきている」(港湾運送)というコスト環境の改善を実感する声も見られた。
他方で、「物価高などで貨物の需要が低調。ドライバー不足など2024年問題の影響もあり、人件費が増加するなか価格転嫁は進まない」(一般貨物自動車運送)という後ろ向きな意見も見られた。

今後は、個人消費の基盤となる実質賃金が継続的に上昇するかどうかが最大の焦点となる。

また、金利や為替レートの動向のほか、ガソリン補助金の終了後の燃料価格の動向も注目される。観光産業の伸長や設備投資の拡大などが好材料の一方で、消費者の節約志向の高まりや企業のコスト負担の上昇が悪材料となる。また米新大統領の経済政策や中東情勢などはリスク要因である。

今後の景気は、好材料と悪材料が混在するなか、横ばい傾向で推移するとみられる。

TDB景気動向調査/運輸・倉庫が2か月ぶりに改善 都市再開発が波及

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