日立物流とバンテックは3月9日、会見を行い、日立物流の鈴木登夫代表取締役社長、バンテックの山田敏晴代表取締役が「公開買付け」についての背景や今後の展望を述べた。
<会見後握手する両社長>
<日立物流 鈴木社長>
鈴木社長は「公開買付けの背景として、少子高齢化などで国内貨物輸送の伸びが期待できないとし、今後グローバルに企業運営を進めていくために、バンテックの公開買付けを決めたと説明」、「3PLのリーディングカンパニーと自動車輸送に強みを持つバンテックの組み合わせで、グローバル市場でグローバルシステムナンバー1物流企業を目指す」と語った。
<バンテック 山田社長>
一方、山田社長は「日立物流のグループに入ることがバンテックの企業価値を高めるとし、今後は両社の海外拠点を生かし、グローバルマーケットで勝負しなければならない時期だ」と説明した。
「わくわくするユニークな組み合わせ」とも表現した。「グローバル展開が加速している中、両社のグローバル展開の方向性が同じこと、物流子会社として誕生した両社の歴史の近似性などもスムーズな公開買付けの展開となった」としている。
なお、現時点では、バンテックの商号、事業内容と従業員の雇用・処遇に重大な変更を加えることは予定していないと、両社で合意している。そのため人的交流では日立物流からバンテックに常勤取締役1名、非常勤取締役1名を送り込む最小限の人員で対応する予定だ。
また、海外拠点の統廃合や業務の棲み分けなどについては、今後「推進プロジェクト」などで話し合いながら徐々に進めていく、としている。
鈴木社長はM&Aについて、「『肉食日立物流』と書かれたこともあるが」と冗談も交えながら、明確に否定。「海外で行ったM&Aも第3者の紹介などで、いつも受け身で対応してきた、今回も第3者の紹介が発端だった」と語った。