CBREは6月3日、「大型物流施設開発と売買マーケット」について不動産プレスセミナーを開催した。
「大型物流施設開発の背景~どこから用地が供給されるか~」、「首都圏マーケットの動向」のコンテンツでCBREのインベストメントプロパティーの丁田剛ディレクターが解説した。
それによると、大型物流施設開発の勢いは継続しており、2016年には1600万m2(約400棟・メーカー、物流会社等の開発は含まず)を超える見込みという。2015年は過去最大の供給見通しで、200万m2を超えるものとみられている。
首都圏の開発エリアは湾岸から内陸エリアにシフトし、特に2012年から2016年にかけては、圏央道沿いの内陸部にシフトが進んでおり、開発の約8割弱が内陸部となっている。
大型物流施設の供給パターンはおおよそ3通り。まず、工場跡地の利用がある。工場の海外移転や、集約化、そして撤退などが背景にある。工場の建築着工動向も2006年約1600万m2と比較して2014年には約600m2と半分以下になっている。
また、インフラ整備による周辺への工業団地の造成などの区画整理事業、そして、施設の陳腐化によるストックの更新などが供給パターンだ。
工場の縮小傾向により、国内生産量も減り、当然物量も減少気味だが、小売のネット通販進出等、旺盛な需要のEコマースや3PL事業などで、大型物流施設の需要は今後も伸びると予測している。
そのため、最新鋭物流施設のストックはまだまだ足りず、首都圏で全体の6.2%、近畿圏で3.1%、全国で2.5%程度の割合しかないという。
小売会社の通販ビジネスを考えた不動産戦略も進み、2016年竣工予定のDプロジェクト有明Ⅰ新築工事は、ファーストリテイリング+大和ハウスによる開発。インターネット通販にも対応する。
また、2013年竣工のセブンネット久喜センターはセブン&アイ(セブンネットショッピング)はネット専用倉庫として、リアルとネットの融合を目指したものだ。
空室率では、2008年9月のリーマンショック時は、18%前後だが、2011年4月からはほぼ4%前後で推移している。また、賃料は上昇基調で、リーマンショック前の水準を目指す勢い。ただ、場所により2極化で、川崎区、厚木などは2013年に集中供給したため、低下している。
そして、物流REITの相次ぐ上場もあり、この2年は物流施設の売買取引が急増し、取引利回りは低下傾向が顕著だとしている。