JDAソフトウェアジャパンは2月24日に米国で発表したJDAの最新調査「JDA Vision」で現在のサプライチェーンへの取り組み動向を明らかにした。
それによると、メーカーや小売企業は自社のグローバルサプライチェーンが非常に複雑化していると認識しているにもかかわらず、多くは依然として旧式のツールや効果がないプロセスでその複雑なバリューチェーン全体を管理していることが分かった。
生産計画では、生産計画に関する課題の大半はソフトウェアで解決できるものであるにも関わらず、現在実際に製造企業が生産計画の策定に使用しているツールは、未だに表計算ソフト(スプレッドシート)であると回答した企業は62%にも上った。
このことから、計画担当者の業務効率を上げる余地はまだまだ大きいことが分かった。
生産計画に関し、今後12か月以内に開始したい最も優先度が高い事項は何かでは、58%が「優れたS&OPプロセスの構築」を上げ、また46%は「生産計画のプロセスにおける迅速性の向上」と回答している。生産オペレーションの最適化に向けて、各社が改善のためのアクションに取り組もうとしていることが分かる。
在庫管理の最適化に関する上位3位の優先順位では、「サービスレベルの改善」が93%と最も多く、次に「需要に合わせて最適な在庫移動を行うこと」が88%と非常に高い結果となった。
しかし各企業では、この領域の効率を測定・改善するための明確な方法を有しておらず、ほとんどの企業で先進技術のツールが導入されていないことも明らかになっている。
また、今後12か月で取り組みたいサプライチェーン計画の課題は何かという質問に対しては、「優れたS&OPプロセスと在庫計画の統合」(100%)、「自動化と高精度な例外管理による計画担当者の生産性向上」(93%)、「製品ポートフォリオの合理化」(90%)が上位3つに挙げられた。こうしたことから、最先端のソフトウェアソリューションへの需要が益々高まっていることが分かるとしている。
需要管理では、小売業やメーカーが新製品を数多く発売し、より積極的な販促活動に多額の投資を行っている。しかし今回の調査により、こうしたコストがかかる新たな取組みの効果を科学的に予測する方法が、意外にも欠如していることが明らかになっている。
新製品を投入するにあたって、その予想を全く算出していない、もしくは営業・マーケティングチームが事後に算出する値を利用していると回答した企業は59%(53%+6%)にも上った。
さらに、販促効果の予測になんらかのアルゴリズム技術を使用していると回答した経営層はわずか3%しかなかった。
輸送管理では、輸送業務でのソフトウェアテクノロジーの利用は道半ばとしている。輸送は文字通り収益確保の真価が問われる場だが、調査の中で、顧客からの注文の33%は短期納品が必要で、これが利益を大幅に侵食しているという結果が現れている。
しかし、輸送の集中管理のために共有サービスを採用しているのは、わずかに26%に留まっている。裏を返せば、驚くべき数の企業が、こうした輸送の根幹にかかわる問題に対処できるツールや効率的手法を利用していないことになる。
また、中核となる全体輸送計画を立てているのは46%に過ぎない。
さらに、輸送業務全体を最適化するために市販のソフトウェアソリューションを採用していると回答した企業も43%に留まっている。
調査を総合的に見ると、メーカーや小売の大半の企業では、多様化する顧客の要求を満足させるにはサービスレベルの改善が必須で、そのためには需要に合わせて最適な在庫管理を行うことが必要になっていることを認識しているにも関わらず、ソフトウェアテクノロジーの導入は思ったほどに進んでいないことが明らかになった。
なお、調査は世界17か国に亘る多種多様な小売業とメーカーの経営層255人を対象に実施されたもので、その分析結果についてはJDA Software Group, Inc.の依頼を受けてTalant社が編纂した最新レポート「JDA Vision 2015 Supply Chain Market Study」に詳しく記述されている。