ネスレ日本、川崎近海汽船、日本気象協会は12月11日、日本でのモーダルシフトを推進し、省エネルギーの実現や物流分野において将来懸念されるトラックドライバーなどの人手不足への対応を進めていくことに合意したと発表した。
ネスレ日本では、 気象予測を、 製造工場から全国の物流拠点への商品補充に活用している。
特に、ペットボトルコーヒーは、 気温変動が出荷量に大きく影響を及ぼすため、 日本気象協会からの最新の気象予測をもとに製品の補充数量や日程の調整を行うことで、 在庫レベルの圧縮と欠品のゼロ化に大きく貢献した。
今年から、 ネスレ日本では生産拠点から距離のある北海道・九州方面への出荷で内航船の利用を推進している。内航海運は、荷物一つ当たりの二酸化炭素排出量がトラックに比べて1/6程度と小さく、 環境負荷の低減が期待できる。
3社での取り組みを推進することにより、 二酸化炭素排出量の低減に加え、 台風等による内航船の遅延や欠航の予測をとりいれることで北海道・九州方面への内航船輸送拡大を期待している。
ま最適な社内物流の実現と、 製造計画や製品の補充計画への気象予測の活用により、 食品鮮度の向上や食品ロスの削減などの取り組みにもつなげていきたいと考えている。
川崎近海汽船ではトラックによる陸上輸送から大型RORO船による無人航送へのモーダルシフトを推進している。モーダルシフトにより、二酸化炭素排出量の削減による環境への負荷の低減、ドライバー不足解消による人的資源の有効活用などが期待できる。
例えば茨城県土浦市~福岡県福岡市までの陸上輸送と比較して「北関東~北九州」間の海上無人航送を利用した場合、 概算で51%の二酸化炭素排出量低減となる(川崎近海汽船試算)。
日本気象協会の提供する内航船向け最適航海計画支援システム(ECoRO)を利用した省エネルギー運航にも力を入れており、 地球・海洋環境保全にも積極的に取り組んでいる。
3社での取り組みを進めることにより、 気象・海象予測を活用した資源の有効活用・環境保全・省エネルギー化・幹線輸送のモーダルシフトというひとつの事業モデルを確立し、幅広い地域・産業にも拡大を図りたいと考えている。
今後は「北関東~北海道」間で成功している20時間航海のサービスを「清水~大分」間でも展開を決めており、さらなるサービス品質向上を求めていく。
日本気象協会では、 ネスレ日本には日本各地の2週間先気象予測情報を、 川崎近海汽船には内航船に最適航路計画や気象・海象予測(海上風、 波浪、 海潮流)を提供している。 2週間気温予測情報は、 「2014年度次世代物流システム構築事業」で開発した結果を利用している。
今後も3社協力のもと、モーダルシフトや最適航路選定を推進することで、 配送の効率化、省エネルギー化を促進していく。また、このような異業種の連携や物流システム変革の試みが社会全体に広がるように今後も取り組んでいくとしている。
この取り組みは経済産業省の2015年度の「次世代物流システム構築事業費補助金」の採択事業となっている。