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DHLサプライチェーン/増大するグローバルリスクに最善の防御策

2016年03月09日/国際

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DHLサプライチェーンは3月9日、増大するグローバルリスクに対する最善の防御策となるサプライチェーン・レジリエンスについて最新報告書「InsightOn:リスクとレジリエンス」報告書を発表した。

「InsightOn:リスクとレジリエンス」報告書は、経済学者や物流専門家のみならず、エンジニアリングやリスク・情報分析、危機管理、事業継続管理等の各分野の第一線で活躍している研究者や専門家から得られた知見をまとめた。

「不測の事態を予測する」ためにレジリエンス(回復力)を高めることは、サプライチェーンの寸断に対する最善の防御策となるだけではない。グローバル企業にとっては、何百万ドルもの損失を回避し、全社的な競争力強化につなげられる可能性を秘めている。

過去数十年間の市場動向の中で、グローバル化とリーン生産方式(トヨタ生産方式を研究し、その成果を再体系化・一般化したもの)という2つの顕著な傾向が、期せずしてサプライチェーンリスクという大きな課題を生み出した。

報告書によると、調査対象企業の74%が2015年にサプライチェーンの寸断を経験している。この年は、中東における紛争、天津港の爆発事故、アメリカの港湾ストライキ、その他世界各地で発生した災害により、グローバルサプライチェーンにとって厳しい一年となった。

サプライチェーンの寸断により生じた損失額は、2000年から2010年の間は年平均1150億ドル程度だったが、2011年には3800億ドルに増加した。2015年の損失額はこれを上回ると予測されており、港湾ストライキによる遅延が原因でアメリカの小売企業が被った損失は、既に70億ドルに達していると推計されている。

今日の複雑な世界では、リスクマネジメント重視の姿勢を明確に打ち出している企業の方が市場で生き残れる可能性が非常に高いことが明らかになっている。

リスクマネジメントを購買プロセスに組み込み、協働的アプローチをとりつつ、新たなパートナーシップを結ぶことで、企業はレジリエントかつ強固なサプライネットワークを構築することができる。

サプライチェーンリスクマネジメントに関連する新たなツールや手法は、リスクの軽減以外にもメリットをもたらす。

レジリエントなサプライチェーンは柔軟性が高いため、好機が訪れた際に逃すことなく獲得し、競合他社の配送が滞っている時には確実に製品を配送し、市場の需要増加や原材料価格下落に応じて生産・配送体制を拡張するといったことが可能となる。

逆に需要が減少した時には、減産することもできる。

報告書では、多くの企業が効率化とコスト削減に集中するあまり、サプライチェーン寸断という付随リスクを軽視していると指摘している。

例えば、どの業界でも多くの企業が、経費削減の一環として、在庫や緩衝在庫の最小限化に努めているが、その結果、ある一部品の工場で火災が発生し、サプライチェーンがわずかに途切れただけで、全世界の生産機能が停止してしまう可能性を秘めている。

一方、レジリエントなサプライチェーンは、緩衝在庫を最大14%削減しながら、サプライチェーンの寸断を防ぐことができる。

また、品質問題はサプライチェーンにおいて早期発見が最も難しい上、最短最速でレピュテーションリスク(評判リスク、風評リスク)に発展する危険性をはらんでいる。

デジタル通信の急速な発展に加え、企業や製品、サプライチェーンの相互連携がさらに増している中、サイバーリスクもこれまで以上に高まっている。

各業界が抱える課題には、業界特有のものと業界に関わらず共通のものがあるが、この報告書では主要な業界を取り上げ、各業界のサプライチェーンにおける課題およびその課題の解決策・リスク低減戦略に焦点を当てている。

■InsightOn:リスクとレジリエンス報告書(英語版)
http://www.dhl.com/riskandresilience

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