IDC Japanは2月9日、世界ロボティクス関連市場の2017年~2020年の進展を特徴付ける要素や企業の動きなどの予測を提供するレポート基づき、2017年以降の10大予測を発表した。
<IDC Manufacturing Insights ロボティクス リサーチディレクターのジン・ビン・チャン博士>
チャン博士は物流でのロボティクスについて「すでにアマゾンのキバシステムなどで、実践されているように、ウェアハウスでの展開が急速に伸びると見ている。また、輸配送でもドローンの実証実験が活発で、一定の条件での地域・場所で活用されることが見込まれている」と話す。
また、「ロボティクスによるイノベーションの加速は継続する。その結果、多くの産業において既存事業の枠組みが破壊し変化する。IDCは、物流、医療、公共/公益、資源の産業分野をはじめとした既存の製造業の工場以外で、ロボティクスの採用が加速すると予測している。そしてエンドユーザー企業は、ロボティクスを活用することで、品質、生産性や迅速性が向上し、さらに企業のステークホルダーがロボティクス活用の理解を深めることで、市場競争力を高められるかを評価する必要がある」と提言している。
■2017年以降の10大予測
1.Robot as a Serviceが普及する。
2.企業にChief Robotics Officerが設置されるようになる。
3.ロボティクス導入サポート市場へ多くの企業が新規参入する。
4.ロボティクス関連人材が不足する。
5.ロボティクスが規制対象になる。
6.ソフトウェア定義型ロボットが登場する。
7.人間と協働するロボットが登場する。
8.インテリジェントRoboNetによりロボット運用効率が飛躍的に向上する。
9.工場以外でのロボット導入が拡大する。
10.eコマース企業のロボット活用が本格化する。
解説したのはIDC Manufacturing Insights ロボティクス リサーチディレクターのジン・ビン・チャン博士。2017年以降の10大予測はすべて重要としながら、特に重要としたのが、1.3.6.9.の項目。
1.の「Robot as a Serviceが普及する」(ネットワーク経由でのロボットのソフトウェアを提供するサービス)では、2019年までに商用サービスロボットアプリケーションの30%は、Robot as a Serviceのビジネスモデルの形態で提供され、ロボット導入のコスト削減を促す。
3.の「ロボティクス導入サポート市場へ多くの企業が新規参入する」では、2020年までにロボティクス導入をサポートする800億ドル規模のICT市場に新規プレイヤーが参入し、企業はベンダーの選択肢が増加すると予測。
6.の「ソフトウェア定義型ロボットが登場する」では、2020年までにロボットの60%は、ロボットに組み込まれるべき新機能、認知能力、制御プログラムがクラウドサービスで提供されるようになる。このような変化から、ロボティクス向けのクラウドマーケットプレイスが形成され始める。
9.の「工場以外でのロボット導入が拡大する」では、2019年までに物流、医療、公共/公益、資源の主要企業の35%は、ロボットを活用した運用自動化を検証するようになる。
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