マンハッタン・アソシエイツは2月23日、2017年の小売業界において重要になると考えられる分野についての予測を行い、時間を短縮する配送(革新的な配送方法の実現)が注目分野の一つと発表した。
商品購入では、消費者の58%が「その場ですぐに」商品を入手するために、店舗に足を運んでいる。こうした状況下で小売業者には、オンラインからの注文に確実に応えられる配送方法の確立と、顧客の要望に沿って出来る限り即座に商品を手渡すことができる方法を構築することが求められている。
オンラインと実店舗の融合が今後さらに進んでいけば、小売業者は、消費者の満足度を高めるために、従来「ラスト1マイル」で取り組んできたこと以上のサービスを提供できるような努力が必要になってくる。
Amazonでは、ドローンを活用した click-to-deliveryサービスを世界で初めて導入し、注文後13分で届けるという驚異的な配送を実現している。
こうした配送手段は、全ての企業がすぐに真似できるものではないが、Amazonによるこの歴史的な取り組みが、他の流通小売業者のそう遠くない未来での変革につながっていくものと想像される。
ドローンによる配送だけが、唯一の革新的サービスではない。他にも配送効率を向上させるさまざまな取り組みが行われている。
例えば英国の大型スーパーであるAsda社は2015年末に、業界でも先駆的となった「toyou」と呼ぶ店舗サービスを開始した。このサービスは、他のオンラインショップで購入した商品でも、Asdaの商品と同様にAsda店頭にて受取と返品を行うことが出来るようにしたもの。
数多くの家庭用品ブランド等と提携して、消費者にとって利便性の高い配送と返品を実現している。
欧州の宅配サービスのDeliveroo社やStuart社などもサービスを拡大し、流通小売業者に向けて新たな配送の選択肢を提供している。
2017年は、商品を1時間以内あるいは数分以内に届けるといった、消費者のさらに高まる要求に対応するため、小売業者がさまざまな協業を模索するといったことが予想される。
単に消費者の要求だからということだけでなく、あらゆる面でサービスの運用効率を高めていきたいという小売業者のチャレンジでもある。
本当に目指すべきものは、顧客が望むものを、いつでも、どこにでも届けることができるような体制を整備すると同時に、そうした新しい配送方法の導入が企業の収益を悪化させることなく、確実に利益を向上させていくことに他ならないとしている。
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