先進的大型物流施設需要は底堅い
―― 各社の参入で先進的大型物流施設の空室率がアップしていると。
永井 確かに、国内のデベロッパー各社が急速に物流開発というフィールドに参入してきたことで一時的に需給のバランスが崩れていることは否めません。しかし、着実にリースアップが進んでいるのも事実です。以前と比べると時間的には埋まるスピードが緩やかになっていますが、先進的大型物流施設に対する需要は底堅いと感じています。例えば、大阪では2017年に約30万坪の供給があります。さすがに、これだけのスペースがすぐに埋まるとは考えられません。一方で当社と三菱地所さん他との共同開発である「ロジポート大阪大正」ではすでに約50%の入居が決まっています。竣工は2018年3月です。
―― その要因は。
永井 大阪市大正区に立地し、難波・心斎橋エリアへ6km圏、淀屋橋・本町エリアへ8km圏、梅田エリアへ10km圏と、大阪都心部に近接しています。主要幹線道路のアクセスも良好で、大阪のみならず、神戸、京都を含めた関西の巨大マーケットへの輸配送もカバーできます。最も多く問い合せを頂くのは日用雑貨品、食品系の企業です。ここは物流拠点を置くには適地と言えます。
―― 雇用確保にも有利ですね。
永井 人口密集地の至近に位置していることに加え、JR大阪環状線・大阪市営地下鉄長堀鶴見緑地線の大正駅から施設最寄りバス停まで頻繁にバス運行があることから、アクセスが容易なため、従業員の雇用環境にも優れています。物流業界でも人手不足は深刻ですからね。
―― 今年4月に竣工されたロジポート堺はどうですか。
永井 大阪大正よりさらに南になり、競争の激しい場所ですが、ここもすでに約50%の入居が決まっています。こちらは労働集約型のオペレーションを主としたテナント企業ではなく、どちらかというと大型の荷物を扱ったり、機械化を検討したりしているテナント企業をイメージして開発したものです。そのための工夫は凝らしました。
―― そのための工夫とは。
永井 労働力不足を見越して、ロボット化や機械化に対応した造りとしているため、2階部分は防火区画内の柱を全て取り払い、自由度の高いレイアウトを可能としています。また、最大で20区画に分割可能とすることで、テナント企業にとって利便性の高い施設を目指しました。天井高も最低6.5m確保し、一番高いところでは7m超。天井高に対応できるよう、1階の床荷重は2.0t/m2としました。従業員の利便性も考え、今後は最寄駅からバスも運行していく予定です。
中嶋 ロジポート堺はあえて2階建てにしています。容積率からすれば高い土地代を少しでも薄めるために高層階の物流施設を建てますが、ここは顧客の利便性を考えてあえてこのような構造にしたのです。これは、今後5年~10年、顧客が求める、物流施設は何かを考えて行きついたものです。今後、機械化、ロボット化、AI化、IoT化が進展することは確実ですので、その時に慌てない先を見越した構造としています。
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