ニトリホールディングスとホームロジスティクスは12月1日、大阪府茨木市にある西日本通販発送センター(プロロジスパーク茨木)で、無人搬送ロボット「Butler(バトラー)」とデバンニングアシストマシーンの稼働状況を初公開した。
<左から「GROUND」の宮田啓友社長、ホームロジスティクスの松浦学社長、Grey Orange共同創業者兼CEO Samay Kohli(サメイ・コーリ)>
ニトリは無人搬送ロボット「Butler」の日本国内でのファーストユーザーとなるもので、導入台数は80台、稼働スペースは西日本通販配送センターの内、約2000坪のスペースで展開する。
導入決定は2016年12月、2017年1月に「Butler」の日本での販売法人「GROUND」に正式発注、2017年2月から設計開始、4月から工事開始、10月から「Butler」による通販発送業務を開始した。
導入効果として、人手に頼った従来の方式に比べ、出荷効率(希望の商品を棚から出して集める作業)が4.2倍になったという。
今後、本稼働後には5倍以上の数値を目指していくとしている。そのための課題として、Butler対象商品の拡大 、出荷検品/梱包作業の効率化、入出庫ロジックの最適化を挙げている。
なお、投資費用は明らかにしていないが、3.5年から4年で投資回収できるとみている。
ホームロジスティクスの松浦学社長は、「Butler」のメリットを「移転が比較的容易」「商品構成変化に対応可能」「誰にでも作業が可能」として説明。世界中のさまざまなロボットや機器を比較検討して決定した。決め手となったのは、「Butler」を製作しているインドの「Grey Orange」がAIに強く、人を大切にする企業理念、そして社長の人柄だったという。
また、ロボット倉庫「AutoStore」を川崎市の統合発送センターに導入しているが、「Butler」との比較で「AutoStore」の対応サイズと対応SKU数より、優れていたことを挙げている。
対応サイズは、「AutoStore」が60㎝×40㎝×30㎝まで、「Butler」では100㎝×100㎝×200㎝まで大幅に拡大している。
「AutoStore」では全SKU数の65%が保管可能だが、「Butler」では80%が保管可能となっている。
デメリットでは、保管効率が「AutoStore」に比べると低密度だという。さらに、床の精度も必要とされ、保管量が少ない点も指摘している。
「GROUND」の宮田啓友社長は「ニトリさんはファーストユーザーと共に、1号機導入企業でもあり、ニトリさん単独で今後現在の約80台を3ケタの数字に拡大していきたいと思っている。東京でも数件の引き合いをいただき、300台以上の契約となっている」と説明した。
<デバンニングアシストマシーン動画>
<村田機械の柳井武則執行役員とホームロジスティクスの松浦学社長>
また、村田機械と共同開発を進めてきたデバンニングマシーンも公開。松浦社長は「コンテナへの積み付け、積み下ろし作業は重労働。ニトリの商品は非常に多くの商品がコンテナで運ばれるため、労働安全衛生の観点からも作業を楽にする機械化は喫緊の課題だった」と話す。
導入効果として、適正な作業施設と負担の少ない荷物の持ち上げ、トラック着床時間の短縮、トラックバースの回転率の向上を得ている。また、パレタイジングロボット、自動倉庫など自動化機器と連結可能なども魅力。
現在は半自動での展開だが、村田機械の柳井武則執行役員は「数年内に全自動化を目指したい」と話している。
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