商船三井と自律制御システム研究所（ACSL）は6月11日、船倉内をドローンによる自律飛行で点検する実証実験に成功したと発表した。
＜船倉内を自律飛行しながら撮影するドローン＞
＜実験に使用したドローン（赤丸部分がLiDERセンサー）＞
実証実験は、5月に商船三井が運航する石炭運搬船での船倉を利用して実施。ホールドが閉鎖された、暗所状態かつ電波が届かない船倉内を、レーザーを照射することにより自己位置推定を行うLiDAR SLAM（ライダースラム）技術を実装したドローンで自律飛行することに成功した。
＜LiDERを用いた船倉内での自己位置測定＞
ドローンとパイロットのモニタリング端末を光ファイバーケーブルで有線接続することで、電波干渉が生じやすく無線通信に適さないホールド内でも安全な自律飛行を実現。また、従来のホールド内点検に使用されていたドローンよりも高解像度のカメラを搭載することで、暗所の中でも精細な点検画像を撮影することに成功した。
石炭運搬船の船倉は天井高が20mに及ぶ船もあり、近年では高所の点検でドローンが活用されている。しかし、産業用ドローンの多くは全地球測位システム（Global Navigation Satellite System、GNSS）からの信号を受信することで位置情報を把握しているため、電波の届かない船倉内では熟練したパイロットによる手動操縦が必要だった。
今回、自立飛行するドローンで船倉内を点検する技術を確立したことで、今後は乗組員でも容易に運用可能なドローンの開発にくわえ、さまざまな船種の船倉やバラストタンク等の閉所・暗所区画を含む環境での飛行点検の開発に取り組むとしている。
