KICアセット・マネジメントは10月28日、埼玉県越谷市で開発を進めてきた物流施設「KIC越谷ディストリビューションセンター（DC）」の竣工式を開催した。
＜外観（南側）＞
＜北側＞
＜施設周辺には住宅が立ち並ぶ＞
越谷DCは地上4階建て延床面積1万1000m2の施設で、新開トランスポートシステムズが自社の物流センターとして運用する。10月29日に竣工、11月1日から稼働を開始する予定だ。
国道16号線内に位置し、東北自動車道「浦和IC」から6km、東武スカイツリーライン「大袋駅」から徒歩10分の立地。周囲は住宅地のため雇用確保のうえでも有利なエリアとなっている。
＜トラックバース＞
＜ドックレベラー＞
＜大型シーリングファン＞
＜4階倉庫スペース＞
＜事務所＞
建物は1階にトラックバースを備えたボックス型で、4階までの各階に倉庫と事務所スペースを整備した。倉庫部分にはマテハンとして、ドックレベラーや荷物用エレベーター2基、垂直搬送機「オムニリフター」1基を導入。また、1階天井には大型シーリングファンを設置している。このうち、「オムニリフター」と大型シーリングファンは、テナントである新開トランスポートシステムズの要望を受けて導入したものだ。
＜越谷DCの太陽光発電システムを説明するスマートソーラーの手塚 博文社長＞
さらに、越谷DCではKICアセット・マネジメントの物流施設として初めて、PPA（電力購入契約）によるオンサイト型の屋上太陽光発電システムを導入する。
この取り組みは、太陽光発電事業等を手がけるスマートソーラーの協力を得て実現したもの。越谷DCの屋根にスマートソーラーが太陽光パネルを設置し、発電した電力を施設の使用電力として供給する。
越谷DCの屋根には出力400kWのパネルを450枚敷設する計画で、同施設で使用する電力の約60％を供給できる見通し。太陽光発電システムには蓄電池を組み合わせ、余剰電力を蓄電して夜間や停電時等に使用できるようにする。
オンサイト型の太陽光発電については今後の開発物件でも標準化する方針で、今後の物件では太陽光パネルも自社での設置を検討。その場合もスマートソーラーとはパートナー関係を維持し、オペレーションや技術的な面で支援を受ける予定だ。
＜KICアセット・マネジメントの峯田 勝之会長兼社長＞
越谷DCは、明治機械の工場跡地を2019年秋に購入した後、既存建屋の解体や土地の整備等を経て2020年10月から本体工事に着手し、約13か月の工期を経て完成した。
KICアセット・マネジメントの峯田 勝之会長兼社長は越谷DCを「3年弱をかけて開発した物件で、コロナ禍中に生まれてきた我が子のようなものだ」と例え、「越谷市は人口も多く周辺には住宅もあり、人手の確保には全く問題がない」と、雇用面での強みを強調した。
また、峯田会長兼社長はKICアセット・マネジメントについて「2025年の東証上場を目指している」と発言。上場時点のAUM（Assets under management：運用資産残高）を500億円（足元では120億円）と見込んでおり、今後は11月をめどに投資運用業のライセンスを取得し、2022年春からコアファンドを運営、同ファンドに越谷DCをはじめとする開発物件を組み入れて長期運用していく方針を示した。
■「KIC越谷ディストリビューションセンター」概要
所在地：埼玉県越谷市大字大里字下371
敷地面積：5823.02m2
用途地域：準工業地域
建物構造：鉄骨造
階数：地上4階
延床面積：1万1224.34m2
竣工：2021年10月29日
設計監理：陣設計
施工：鈴与建設
