国土交通省と経済産業省は12月3日、「令和3年度 グリーン物流パートナーシップ優良事業者表彰」について、各賞の受賞者を決定したと発表した。
国交省は、国土交通大臣表彰1件、公共交通・物流政策審議官表彰1件、物流DX・標準化表彰1件、物流構造改革表彰2件、グリーン物流パートナーシップ会議特別賞1件。
経産省は、経済産業大臣表彰1件、商務・サービス審議官表彰1件、グリーン物流パートナーシップ会議特別賞2件を選定した。
＜国土交通大臣表彰を受賞した取り組みの概要＞
国土交通大臣表彰を受賞したのは、NEXT Logistics Japanほか15社による「『ドライバー不足によりモノが運べなくなる』という社会課題解決に向けた高効率輸送スキームの構築」。
同取り組みでは、異業種・業態の複数の企業が個社で便を立てて行っていた輸送を、NEXT Logistics Japanのクロスドックセンターに荷を集め、25mダブル連結トラックで束ねて輸送することで、輸送効率を向上させ、省人化や労働環境の改善を図った。
異業種・業態の荷主・物流事業者が1つのテーブルでともに課題解決に取り組んでいる点や、省人化・効率化策を実運送の中で実証し、その技術・ノウハウの社会実装につなげる点、参画各社が全体最適の実現に向けて荷姿の変更やリードタイムの見直し等、商習慣や慣習を見直し従来のやり方を変える取組みを議論している点が特徴。
効果として、年間に997.9トンのCO2削減、1人で単車2.5台分を輸送することによるドライバーの省人化、ドライバーの宿泊勤務廃止、荷役分離によるドライバーの負担低減を可能にしている。
＜経済産業大臣表彰を受賞した取り組みの概要＞
経済産業大臣表彰を受賞したのは、ネスレ日本ほか5社による「産業を跨いだ新たな鉄道輸送水平共同モデル」。
同取り組みでは、農作物輸送用に空回送されていたコンテナをペットボトルコーヒー飲料の輸送に活用し、物流の無駄を削減。ネスレ日本が関東圏の工場で製造したペットボトルコーヒー飲料の新潟県への輸送について、トラック輸送から鉄道輸送へと切り替えたほか、商品を新潟貨物ターミナル駅の留置場で一時保管し、顧客のオーダー受注に基づいて留置場から持ち出し、顧客の軒先まで配送する仕組みを採用した。
米収穫期の大量の空回送コンテナ発生問題と、夏季のペットボトルコーヒーにおける新潟向けの輸送力不足が絶妙に噛み合った末に生まれた、第一次産業と第二次産業のコラボレーションによる取り組みである点や、通常は通過地点である駅を、疑似的に倉庫とみなした新規性のある事業である点、駅での積み替え作業なども含め、これまでになかった取組であり、今後の鉄道輸送の可能性を広げる点が特徴。
効果として、年間21.9トンのCO2削減と、トラック30台の削減を可能にしている。
■受賞者の一覧
＜国土交通大臣表彰＞
事業名：「ドライバー不足によりモノが運べなくなる」という社会課題解決に向けた高効率輸送スキームの構築
事業者：NEXT Logistics Japanほか15社
＜国土交通省 公共交通・物流政策 審議官表彰＞
事業名：物流DXとスワップボディ車を活用した中継輸送の効率化～2024年ドライバー残業時間上限規制に向けた長距離運行への2拠点中継輸送導入～
事業者：鈴与ほか4社
＜物流DX・標準化表彰＞
事業名：海上コンテナ転用による資材国内輸送と同一コンテナでの製品輸出－労働力不足解消・労働環境改善に寄与するバニングマシン導入によるバラ積み作業の自動化－
事業者：日立物流ほか4社
＜物流構造改革表彰＞
事業名：サプライチェーン全体で環境負荷低減を実現した全国共同配送
事業者：ライフサポート・エガワほか2社
事業名：KRS グループ「結ぶ輸送」を進化させた新たな長距離輸送モデル～持続可能な食品物流への挑戦～
事業者：キユーソーティスほか2社
＜グリーン物流パートナーシップ会議特別賞＞
事業名：「JR用ウィング式3温度帯混載コンテナ」のコールドチェーン輸送
事業者：西武建設運輸ほか4社
＜経済産業大臣表彰＞
事業名：産業を跨いだ新たな鉄道輸送水平共同モデル
事業者：ネスレ日本ほか5社
＜商務・サービス審議官表彰＞
事業名：異業種共同輸送による未来の物流のカタチ
事業者：アサヒ飲料ほか2社
＜グリーン物流パートナーシップ会議特別賞＞
事業名：物流センター間トラック移送から鉄道コンテナ輸送へのモーダルシフト
事業者：メディセオほか3社
事業名：商流を超えた物流集約による積載率向上
事業者：愛知製鋼ほか1社
