CLOフォーラム開催/物流を経営課題へ、先進企業3社がCLO実像語る

2026年02月25日/SCM・経営

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国土交通省と経済産業省は2月24日、東京都内で「物流統括管理者(CLO)フォーラム」を共催した。4月に迫る特定荷主企業等へのCLO選任義務化を前に、制度の趣旨やCLOに期待される役割、必要な知見や人材育成の方向性について、制度解説、企業事例、パネルディスカッションを通じて議論を深めた。約300人が参加し、関心の高さをうかがわせた。

セッション前半では、国土交通省による制度に関する解説が行われ、CLOは単なる物流部門の責任者ではなく、経営戦略の観点から物流を統括し物流全体の最適化を図る役割とし、取引先や運送事業者を含めたサプライチェーン全体の最適化を主導する存在であることが示された。物流の停滞や非効率が企業経営そのものに直結するなか、CLOには経営視点と現場理解の双方が求められる。

先進3社が示すCLO像

<事例紹介を行った先進企業のCLO、左から森信介氏(花王)、村田眞一氏(SUBARU)、田村幸士氏(三菱食品)>
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事例紹介では、花王、SUBARU、三菱食品のCLOが登壇し、それぞれの立場から改革の方向性を語った。

花王で執行役員ロジスティクス部門統括、物流統括管理者(CLO)を務める森信介氏は、「経営視点で物流領域の社会最適化を図ることがCLOの役割」と明言。荷待ち時間・荷役時間の削減、積載効率の向上を重要な判断基準とし、ROICやESGといった経営指標と連動したKPIを設定することで、現場の改善活動を企業価値向上へ結び付ける枠組みを構築している。メーカーであり卸機能も持つ同社では、荷主・運送事業者双方の立場で法令対応が求められるため、全体最適を意識した指標設計が不可欠だと説いた。

SUBARUで執行役員CLO(最高物流責任者)・物流本部長を務める村田眞一氏は、広報や人事、法務などを経た“ゼネラリスト型CLO”。2025年4月の就任と同時に物流本部を新設し、生産最優先の従来型物流から脱却、輸配送プロセスに多様性を持たせた物流プラットフォームの構築に着手した。とりわけ日本から北米への輸出物流は経営の生命線であり、パイプライン全体の効率化が競争力を左右する。工場納品時のドライバー荷役廃止や、西濃運輸との幹線共同輸送、完成車物流でのトヨタ自動車との連携など、社外との協業も加速。「現場経験がないからこそ、新しい視点で全体最適を考えたい」と語った。

三菱食品でSCM統括とCLOを兼務する田村幸士 取締役常務執行役員は、「物流=コスト」という従来のパラダイムからの転換を提起。CLOへの進化に向けて、1.物流費削減から企業価値向上へ、2.コスト・品質・持続可能性の同時実現、3. 個社最適からサプライチェーン全体最適へ――の3方向を示した。データ化とテクノロジー活用による可視化・標準化を進め、異業種・異業態との連携も視野に中長期的な価値創出を図る考えだ。

「全体最適」は経営アジェンダ

<パネルディスカッションの様子、左から矢野裕児氏(流通経済大学)、西成活裕氏(東京大学院)、森信介氏(花王)、村田眞一氏(SUBARU)、田村幸士氏(三菱食品)、木村 大氏(国土交通省)>
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続くパネルディスカッションでは、流通経済大学の矢野裕児 教授がファシリテーターを務め、東京大学大学院の西成活裕 教授、国交省の木村大 大臣官房審議官(物流・自動車局担当)と3社のCLOが登壇。「CLOとは何者か」という問いに対し、各社が共通して挙げたのは「全体最適化」の視点だった。

「物流はあらゆる部門に存在するが、横串で見る仕組みがなかった」と三菱食品の田村氏。可視化を進め、物流を経営アジェンダとして議論に載せ続けることこそがCLOのミッションとの認識で一致した。

求められる知見や経験については、物流の専門性に加え、データで経営陣と対話できる言語力や、組織横断で改革を進める総合力が必要との意見が相次いだ。「スーパーマン1人では続かない。チームとしての体制構築が重要」(花王・森氏)、「自社物流を可視化・相対化し、外部との連携を通じて変革を進める」(三菱食品・田村氏)、「データや財務管理などAIの活用は重要。俯瞰でみれる人材が必要」(西成教授)など、DXや組織設計の重要性も示された。

さらに、社内外のステークホルダーとの連携では、KPIやデータといった協調領域を探るための“共通言語”に加え、「信頼」や「利他」といったソフト面の関係構築も不可欠とされた。

人材育成と産業の魅力向上へ

CLO人材確保・育成も大きなテーマとなった。日本では物流専門の高等教育機関が限られている現状が指摘される中、木村審議官は「物流はロボット化や自動化の実装の場となる最先端分野。政府として明るい未来像を示す必要がある」と述べ、賃金体系の見直しも含め、誇れる産業へと高めていく重要性を強調した。

CLO選任義務化を目前に控え、物流はコストセンターから企業価値創出のドライバーへと位置付けが変わりつつある。経営と現場、そして社会をつなぐリーダーとして、CLOが「全体最適への壁」をどう乗り越えるか。義務化を前に企業が備えるべき課題を提示し、様々な視点から考える契機となった。

国交省・経産省/CLOフォーラム開き、求められる人物像など学ぶ機会提供

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