商船三井は1月11日、伊藤忠商事と共同で、米国船級協会 American Bureau of Shipping )より、アンモニア燃料供給船の設計に関する基本承認( AIP Approval in Principle )を取得したと発表した。
アンモニア燃料供給船の設計基本承認の取得は、本邦初となる。
AIPを取得したアンモニア燃料供給船は、同社および伊藤忠商事がS embcorp Marine Integrated Yard Pte. Ltd. と共同設計した上で、AIPの取得に先立ちABS Consulting (S) Pte Ltdによるリスクアセスメント( HAZID Hazard IdentificationStudy、をシンガポールのパートナーと共に実施し、アンモニアが有する毒性等を十分考慮した安全対策を織り込んだ仕様となっている。
アンモニア焚きエンジンは、国内外メーカーによる開発が進められており、早ければ2020年代後半よりアンモニア燃料船が竣工する見通しとなっている。今般同社等が共同開発した アンモニア燃料供給船 は、シンガポールにおいて、それらアンモニア燃料船へ燃料供給することを目指している。
この件はシンガポールでの舶用アンモニア燃料サプライチェーンの共同開発の一環であり、LNG燃料供給船の建造・保有の経験と知識を有した同社が主体となって、シンガポールでのLNG燃料供給事業の実績を有するパートナーであるTotalEnergies Marine Fuels Pte. Ltd. や Pavilion Energy Singapore Pte. Ltd. と共に取り組んだもの。
なお、アンモニアは、燃焼時に二酸化炭素を排出しない次世代のクリーンエネルギーとして注目されている。同社も「商船三井グループ環境ビジョン 2.1 」で掲げる2020年代中のネットゼロ・エミッション外航船の運航開始、および2050年までのネットゼロ・エミッション達成に向け、アンモニア燃料船の開発やアンモニア輸送事業に取り組んでいる。 一方で、他船にアンモニア燃料を供給するアンモニア燃料供給船の開発や、アンモニアサプライチェーンの構築に向けた取り組み等を通じて、同社事業のみならず、社会の温室効果ガス削減にも貢献していくとしている。