川崎重工業は4月22日、16万m3型液化水素運搬船の基本設計承認(AiP)を日本海事協会から取得したと発表した。
AiPを取得した液化水素運搬船は、2021年4月にAiPを取得した新開発の液化水素用タンク(1基あたり4万m3)を4基搭載する大型船で、2020年代半ばの実用化を目指している。
主な特徴として、液化水素用タンクに外部からの侵入熱で発生するボイルオフガスを低減する新開発の高性能断熱システムを採用。
推進機関には、水素を燃料にできるボイラーと蒸気タービンプラントを搭載し、液化水素用タンクから自然発生したボイルオフガスを船舶の推進燃料として有効利用できる二元燃料推進のシステムを採用し、液化水素輸送時のCO2排出削減に寄与する。また、液化水素用タンクから発生したボイルオフガスを推進機関へ供給するために、水素ガス圧縮機や水素ガス熱交換器で構成される水素ガス燃料供給システムを搭載する。
そのほか、大量の液化水素を短期間で荷役するための貨物運用システムを搭載。また、陸上設備から船内の液化水素用タンクまで液化水素を気化させることなく、極低温のまま効率的かつ安全に移送するために、真空二重配管を採用する。
液化水素運搬船は、-253℃に冷却して体積を800分の1にした極低温の液化水素を一度に大量輸送できるため、実用化されれば水素供給コストの低減が可能になる。
■16万m3型液化水素運搬船の主要目
全長:346m
幅:57m
喫水:9.5m
タンク容積:16万m3(4万m3×4基、約1万トンの液化水素を積載可能)