日本郵船は4月28日、同社が運用している海技者の自社養成制度から初めての機関長が誕生したと発表した。
また、フィリピンの商船大学NYK-TDG MARITIME ACADEMY(NTMA)からも開校以来初となる機関長が生まれた。登用されたのは、自社養成出身の海技者である三輪大祐(みわ だいすけ)氏とNTMA卒業生のエドウィン パラシオス プリバド氏の2名。
同社グループにとって安全運航はESG経営の1丁目1番地であり、最優先事項として取り組んでいる。中でも安全運航を成し遂げるためには優秀な人材の育成が重要であり、各種育成システムを整えてきた。2006年には幅広いソースから安定的に人材を確保するため、日本の船会社で初めて自社養成制度を開始した。これは一般の4年制大学・高専の卒業生を採用し、2年間かけて自社プログラム(講義・実習)を通じて海技者に必要なライセンス習得のため職員を育成するもので、この制度を通じてライセンスを取得した職員はのべ100人以上にのぼる。
また、同社は、優秀なフィリピン人船員の育成を目的に、2007年に商船大学NTMAを設立した。独自のカリキュラムと乗船訓練で、開校以来、卒業生のフィリピン海技国家試験における合格率は高い水準を維持しており、これまで1250人を超える卒業生を輩出し、多くの同校卒業生が同社グループ運航船で活躍している。
機関長登用を受け、同社の小山智之専務執行役員は、「“安全”は、当社グループすべての事業活動の基盤であり、これを支える人材の育成は重要と考えている。幅広い知識と多様性を持った多彩なバックグラウンドを持つ人材が求められる中で、自社養成とNTMA出身で初の機関長が同時に誕生したことを非常に嬉しく思う。今後も優秀な人材の確保・育成に注力し競争力の源泉としたいと考えている」と述べた。