商船三井とボストン・コンサルティング・グループ、LGT、Swiss Re、およびUBSの5社は5月23日、スイスのSouth Poleが主催するNextGen CDR Facility(NextGen)にアンカー・バイヤーとして参加することを発表した。
NextGenは、大気中の二酸化炭素除去(CDR)に関する技術(技術系CDR)の普及・促進を目指し、バイヤーとして参加する企業が第三者認証を取得した技術系CDR由来のCO2削減価値(技術系CO2削減価値)を共同購買する取り組み。
炭素除去(CDRは)は、大気中のCO2を除去し、貯留すること。森林やブルーカーボン等自然界のCO2吸収を増やす自然ベースのものと、化学工学的技術を使って大気中からCO2を除去する技術ベースのものに二分される。
NextGenは、2025年までに技術系CDRに取り組む様々な事業者から、合計100万トン以上の技術系CO2削減価値を購入し、2030年までに参加企業に検証済みの技術系CO2削減価値を提供する予定。
購入対象とする技術系CO2削減価値は、CO2削減価値の信頼性評価を行う国際NGOのInternational Carbon Reduction&Offset Alliance(ICROA)が設定した基準を満たす、第三者認証機関による認証を取得した高品質なものが対象となる。
また、NextGenは規模拡大に向けて多額の資金を要する5つの革新的な技術系CDR(バイオマスエネルギーの燃焼等により発生したCO2を回収・貯留する技術、大気中のCO2を直接回収し貯留する技術など)について、進行中のプロジェクトに関する情報を収集、整理。今後、最新の科学とベストプラクティスに基づいた購入の意思決定を続けていくとしている。
気候変動による温度上昇を1.5℃以内に収めるためには、2030年までに年間30億トンの二酸化炭素を除去し、信頼性の高い技術系CDRを飛躍的に拡大させる必要がある。しかし、現在技術系CDRのコストは非常に高く、大規模な市場導入は容易ではない。
こうした状況下、10年以内に創出可能な技術系CO2削減価値を購入することで、技術系CDRに取り組む事業者が事業規模を拡大することができ、中長期的にコストを引き下げることができる。
商船三井の橋本 剛社長は、「これからの10年間は、私たちの未来を住みよいものにするための決定的な10年となる。NextGenのアンカー・バイヤーになることを嬉しく思っており、規制に先んじて責任ある行動をとることで、人と社会と地球の持続的成長に貢献し、次世代を生きるすべての生命にとって豊かな未来を約束する」とコメントしている。