商船三井とメトロウェザーは7月28日、メトロウェザーの「ドップラー・ライダー」を商船三井保有の実証船に搭載し、船舶が遠方の風況をリアルタイムに把握しながら海上航行する実証実験に世界で初めて成功したと発表した。
ドップラー・ライダーは、ドップラー効果による周波数の変移を観測することで、風況を測定するライダー。
<実証船に搭載したドップラー・ライダー>
同実験では、商船三井が風力と水素で航行する究極のゼロエミッション船「ウインドハンタープロジェクト」の実証試験で用いた小型ヨットを実証船として使用し、長崎県大村湾で、航行中の実証船周囲半径15km圏内の三次元空間のリアルタイム風況測定に成功した。
<行中船舶で測定した遠方の海上風況データのイメージ>
航行船舶上のドップラー・ライダーによる風況計測は、航行域周辺に発生している風を直接計測し可視化できる点が特徴で、一般的に用いられている衛星データによる風況予測よりも正確な予測が可能となる。また、メトロウェザーのドップラー・ライダーは小型ながら遠距離の計測が可能なため、船舶への搭載が容易であり安全航行に資するものとして期待される。
ドップラー・ライダーと慣性航法装置を融合させた「船上風況計測装置」は、正確な風況予測により安全運航の質を更に高める目的のほか、商船三井の風力を船の推進力として活用する「ウインドチャレンジャープロジェクト」や「ウインドハンタープロジェクト」の船舶の最適航行支援や風力エネルギー関連事業等での幅広い適用に向け開発を推し進めていく。
なお商船三井は、今年4月に同社全額出資のコーポレートベンチャーキャピタル「MOL PLUS」を通じてメトロウェザーに出資することを決定し、幅広い分野での業務提携を推進しており、同実証実験はその第一弾となる。