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ソニー、NEC/日通NECロジとエッジAIによる物流DX実証実験

2022年12月08日/IT・機器

ソニーセミコンダクタソリューションズ(SSS)と日本電気(NEC)は12月8日、倉庫での荷物の入出荷などオペレーションの効率化をめざし、AIカメラなどのエッジデバイスを活用した物流業界向けエッジAIセンシングソリューションの実証実験を12月から開始したと発表した。

<実証実験の様子(赤枠内がAIカメラ)>
20221208nec - ソニー、NEC/日通NECロジとエッジAIによる物流DX実証実験

実証実験は、日通NECロジスティクスの協力を得て同社の成田倉庫で2023年3月まで行い、ソリューションによる倉庫の生産性向上効果を実証する。

このソリューションは、倉庫の空き棚スペースをエッジAIで可視化し、荷物の入出荷に関するデータを掛け合わせることで、作業時間の短縮に繋がる最適な入庫スペースを作業員に推奨するというもの。

AIカメラを活用したソリューション構築を支援するSSSのエッジAIセンシングプラットフォーム「AITRIOS」と、NECの空き棚スペースを可視化するアプリケーションを組み合わせることで、システム開発の効率化とAI再学習を実現し、倉庫環境に合わせて検知精度を持続できるサービス運用を目指す。

<インテリジェントビジョンセンサー「IMX500」>
20221208nec1 - ソニー、NEC/日通NECロジとエッジAIによる物流DX実証実験

<IMX500搭載の小型カメラ>
20221208nec2 - ソニー、NEC/日通NECロジとエッジAIによる物流DX実証実験

ソリューションの特長として、まずはSSSのインテリジェントビジョンセンサー「IMX500」をカメラに搭載している点が挙げられる。同センサーは撮像からAI検知までを行える小型のチップで、搭載することでカメラ設置を省スペース化し、より柔軟なカメラの設置が可能となる。また、検知結果は荷物に関する意味情報(メタデータ)として後段のシステムに送信されるため、画像のまま送信する場合と比較してデータ量を最小限に抑え、システムの運用コスト削減に寄与する。

SSSが提供するデバイス管理やAI開発・運用のためのクラウド環境「AITRIOS」を採用している点も、ソリューションの特長だ。「AITRIOS」が、AI検知に必要となる再学習可能なベースのAIモデル「Base AI Model」を提供し、NECがこれを活用することで、倉庫環境ごとに最適なAIモデルを効率的に開発し、ソリューションを顧客に短納期で導入することが可能になる。加えて、「AITRIOS」の環境を使って、遠隔からクラウドを通じたAIモデルの再学習が可能になり、倉庫レイアウトや照明など現場環境に変更が生じた場合にもAIモデルを再学習させることで、検知率の低下を防ぎ、オペレーションに求められるAI検知精度を維持することができる。

使用するNECのアプリケーションは、「IMX500」で検知した荷物情報をもとに、倉庫全体の空き棚スペースの情報をモニターに可視化し、作業員の能力や経験値に左右されることなく、空き棚スペースを把握することが可能。また、空き棚スペースの情報と荷物の入出荷頻度や出荷予定日のデータを掛け合わせることで、ピッキングの作業時間を短縮できる最適な空き棚スペースを推奨する。

今後、SSSとNECは実証実験で得られる知見をもとに物流業界への本格導入に向けて検討し、物流DX(デジタルトランスフォーメーション)の促進による人手不足の課題解決に取り組んでいくとしている。

 

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