CBREは1月31日、最新の国内物流施設(大型マルチテナント型物流施設)の市場動向に関するレポート「ロジスティクス マーケットビュー Q4 2022」を発表した。
それによると、Q4の首都圏の空室率は5.6%と前期の5.2%から0.4ポイント上昇した。新規供給は13.0万坪で、2022年Q3までの3四半期の平均約18万坪より少なかったが、新規需要も10.3万坪と、同平均約13万坪を下回る低い水準だった。
Q4の新規供給5棟はすべて空室を残して竣工しており、竣工時稼働率(31%)が2017年Q1以来の低水準となったことが空室率を押し上げた。全ての物件が空室を残して竣工したのは2017年Q3以来である。
物流会社の需要は引き続き堅調で、館内増床や大規模な賃借事例に加えて、竣工予定物件を新たに賃借するケースも複数見られた。主な荷主はEC事業者、アパレル、ドラッグストアなど。
一方ベイエリアのQ4の空室率は5.3%とQ3の10.7%から5.4ポイント低下した。Q1に竣工した1物件の一部の面積でテナントが内定したことが理由。同物件以外は満床となっており、2023年Q3に竣工予定の物件についてもリーシングが進んでいるようだ。新規供給が少ないことから、賃料は上振れる傾向にある。
また、外環道エリアのQ4の空室率は1.3%で、Q3の4.3%から3.0ポイント低下。今期は新規に竣工した物件がなく、千葉湾岸方面の複数の築浅物件が満床となったことから、空室率は大幅に低下した。なお、千葉方面の物件については、今後の竣工予定を含めて順調にテナントが決まっているが、埼玉方面では近隣国道16号エリアとの競合もあってテナントが決まりにくい状況が続いているようだ、としている。
近畿圏のQ4の空室率は1.7%、対前期比横ばいとなった。新規供給はなかったが、前期に竣工した1棟が満床になった一方で、一部の既存物件で空室が発生した。Q4時点で、空室を抱えた物件はわずか4棟で、湾岸部や新迷信高速道路方面の中でも、雇用確保や交通アクセスなどの面で劣る一部の地域に限られる。
中部圏のQ4の空室率は8.5%、前期11.0%から2.5ポイント低下した。新規供給1棟が満室で竣工したほか、複数の築浅物件でまとまった空室が消化されたことが、空室率低下に寄与した。今期も製造業が需要を牽引し、2022年通年の新規需要は14.2万坪となった。
福岡圏のQ4の空室率は1.0%、前期からは0.1ポイントの上昇となったものの、低い空室率を維持した。今期の新規供給1棟は、郊外の新興立地であるにも拘らず苦8割の稼働率で竣工。また、既存の築浅物件でも空室が消化されて満床となった。2022年の年間新規需要は過去最高だった2018年の4.1万坪の2.2倍となる9.0万坪を記録した。
CBRE/首都圏の大型マルチ型物流施設の空室率は9.7%と横ばい