日本GLPは2月13日、千葉県流山市で開発を進めてきたマルチテナント型物流施設「GLP ALFALINK流山5＆6」を竣工し、内部を公開した。
＜GLP ALFALINK流山5＞
＜GLP ALFALINK流山6＞
GLP ALFALINK流山5＆6は、全8棟の施設で構成する「GLP ALFALINK流山プロジェクト」で5・6棟目の完成物件。両棟は2階部分がブリッジで連結されており、建築基準法上では1棟としてみなされる。延床面積23万4000m2は、GLP ALFALINK流山プロジェクト中で最大の規模だ。
＜流山5のエントランス＞
＜中央車路＞
2棟のうち南側に位置するGLP ALFALINK流山5は、ダブルランプウェイと中央車路を設けた地上4階建て延床面積16万5000m2の施設。大手食品卸売会社の三井食品と、同施設での運送を担う成田運輸の2社による1棟全体の利用が決定している。
三井食品は、同施設を常温・冷蔵・冷凍の3温度帯物流センターとして利用し、大手総合スーパー向けの配送センターとプロセスセンターなどを運営する。3月から一部を稼働させ、8～9月頃に本格稼働へと移行する予定。冷凍機能は1階の一部に設け、2024年以降の導入を予定している。
同施設については、早期に入居が決定していたことで、三井食品の要望を施設設計に反映。3・4階の西側部分を吹き抜け構造とし、常温帯の巨大な自動倉庫（ダイフク製）を設置した。
＜5と6を接続するブリッジ＞
＜ブリッジ内部（奥が流山6）＞
＜流山6の倉庫スペース＞
＜流山6の事務所スペース＞
一方、北側に位置するGLP ALFALINK流山6は地上4階建て延床面積6万8000m2。1階と2階にバースを設けており、1-4階と2-3階をそれぞれ搬送機器（荷物用EV6基、垂直搬送機8基）で連結して一体利用する構造となっている。
2-3階には象印マホービンの入居が決定しており、東日本の商品配送拠点として利用する予定。1-4階については、最小5400m2から最大3テナントへの分割賃貸が可能で、入居企業を募集中だ。
＜シェアリングオフィス＞
＜シンクやIHキッチンなどの調理機器を備えたマルチスペース＞
＜仮眠などの休息がとれるリラックスルーム＞
＜ヒーリング音楽を聴きながら仮眠できるエナジーポッド＞
GLP ALFALINK流山5＆6は、南北に伸びるGLP ALFALINK流山プロジェクト全体のほぼ中央に位置する。この特徴を生かし、入居企業のビジネスとコミュニケーションのハブ、そして地域との共生のハブとして、他の棟や周辺地域から人が集まり、さらに新たな価値が創出されるような施設づくりを目標としている。
具体的には、地元での起業や拠点開設を支援するためスモールオフィスやアフターコロナを見据えたワーキングスペースの設置、また地域参加型のイベントやセミナーなど多目的に利用可能なシェアキッチン付きのマルチスペースを設けるなど、地域との共生や入居企業同士のコミュニケーションの醸成を図る。ビジネス機会創出の観点からは、各入居企業の企業情報を見せる化するデジタルサイネージや、ビジネス交流イベントを実施するなど、新たなビジネスマッチングのきっかけを提供する。
＜カフェテリアはGLP ALFALINK流山5＆6全体で630席＞
＜はなまるうどん、吉野家がGLPの施設に入居するのは今回が初（営業時間7～19時）＞
＜セブンイレブンは7月下旬オープン＞
また、心幸クリエイトが運営するカフェテリア内には、「はなまるうどん GLPアルファリンク流山5店」が2月にオープンし、春には「𠮷野家 GLPアルファリンク流山5店」もオープン予定。さらには「セブン-イレブン GLP流山5店」も入居するほか、託児所の設置など施設で働く従業員の快適な就労環境をサポートする。これらの共用部は託児所を除いて、テナント企業だけではなく、周辺住民など一般にも開放する。
このほか、GLP ALFALINK流山5＆6の敷地内には駐車場620台分、トラック待機場64台分を整備。テナント従業員の通勤用には、最寄り駅への無料循環バスや路線バスの乗り入れを「GLP ALFALINK流山1～3」と同様に実施している。また、棟間移動のために1～8を巡回する無料バスを運行し、各棟がもつさまざまな機能を利用しやすくすることで、「GLP ALFALINK流山」全体でさらなる働きやすい環境を構築する。
サステナビリティの取り組みでは、 環境への配慮として屋上に自家消費型の太陽光発電設備を設置し、4.6MWの電力を発電し館内へ供給することで、入居企業の脱炭素化に向けたサステナビリティ推進への取り組みをサポート。LEED GOLDについて予備認証を取得済みで、ZEB認証についても取得を予定している。
＜日本GLPの帖佐 義之社長＞
竣工式を前に行われた記者会見では、日本GLPの帖佐 義之社長が「ALFALINKでは、コンセプトの一つに、『Open Hub』によるビジネス創出や地域共生などを掲げている。GLP ALFALINK流山では8でカフェテリアなどの共用部を地域に開放しているが、5＆6ではシェアキッチンやカフェテリア、シェアリング型ワーキングスペースといった共用設備をふんだんに設け、8で体現してきたことをさらに強化した」と、GLP ALFALINK流山5＆6の特長を説明。
また、帖佐社長は三井食品の施設利用について「1棟の物流施設の中に配送とプロセスセンターの機能を同居させ、工場と物流の複合的用途を実現したことで、より効率的なサプライチェーンを構築できる。これはALFALINKのコンセプトにある『シームレスな物流』によるもの。こうした取り組みを支援し、三井食品と今後もこういった施設を展開していけることを期待している」とコメントした。
＜三井食品の柴田 幸介社長＞
三井食品の柴田 幸介社長は「同施設は、当社の物流センターとしては最大の拠点だ。特徴として、大手の物流センター機能を担いつつ、その他の顧客の物流も受け入れて運用していく。食品卸の拠点として専用センターはよくあるが、複数の顧客のセンターを1か所に同居させ、機械や床、人などをシェアする形は珍しい。高い効率性と難易度が混同した取り組みで、加工機能や温度帯機能も併設することで、いっそう難しい課題にチャレンジすることになる。成功した暁には、当社にとって非常に強い武器になる」と語った。
＜竣工式＞
GLP ALFALINK流山5＆6の竣工式には100名超の関係者が出席し、施設の完成を祝った。
現在、GLP ALFALINK流山では4と7を建設中で、7を5月末、4を6月末に竣工し、全体完成を迎える予定。全体面積の約9割でテナントが決定している。
■「GLP ALFALINK流山5＆6」施設概要
所在地：千葉県流山市
敷地面積：約11万3000m2（2棟あわせて）
延床面積：約23万4000m2（2棟あわせて）
構造：地上4階／免震・PC造（2棟共通）
着工：2021年5月
竣工：2023年1月
認証取得：LEED GOLD予備認証取得済み、ZEB認証（予定）
