トルビズオンとグリーンサービス、ユタカコーポレーションは2月15日、愛知県新城市で同9日に実施した医薬品配送の実証実験に成功したと発表した。
今回の実証実験は、「物流の強靭化とCO2排出量削減」がコンセプト。検証を行った乗本地区では、川を隔てて地域が分かれていることで、自動車で配送するには遠回りになってしまうことが課題となっていた。そこでグリーンサービス、およびユタカコーポレーションは、新城市と豊川市を交えた東三河ドローン・リバー構想推進協議会を発足。河川上空をドローンの空路として活かした物流の可能性を検討し、今回の実証実験の実施を決定した。
同実験は、ドローンと自動車を組み合わせて配送を行うことにより物流配送網の可能性を広げることを目的とし、CO2排出量削減を目指すとともに、ドローン配送の社会受容性を検証した。
＜実証に使用されたドローン＞
配送ルートは河川上空を空路として利用。新城市「ながしのクリニック」の医師と、同市大野地区の患者とのオンライン診療を行い、医師から処方された 医薬品をグリーンサービスが自動車で乗本地区のドローン離着陸場まで搬送。その後、医薬品をドロ ーンの医薬品専用ボックスに格納し、宇連川上空を北東に大野地区までドローンにて空輸し、大野地区の患者の駐車場まで届けた。
＜配送ルート＞
ドローンの第三者上空飛行を実現しドローン配送を社会実装するには、安全な運航管理体制が求められる。今回の実験では、国が求める要件を満たすための安全管理の管制室機能のプロトタイプを考案し実験を行った。
＜会場で実況中継する様子＞
具体的には、ドローンからの空撮映像やテレメトリーデータによる「空の道の安全確認」と、配送先の「空の駅の安全確認」を同時に遠隔監視するシステム及びネットワークを構築し、そのデモンストレーションを、各町の管制拠点(乗本公民館）から実況中継を行い、地域住民と見守った。
同実験では、国のドローンによる医薬品配送のガイドラインに準拠し、医薬品配送に必要な温度管理を厳密に行った。また、スマートフォンでのロックおよび解錠が可能な箱を使用し、セキュリティ対策を万全にし、受け取りの誤りがないように実施した。
「今後はより長距離の飛行や、第三者上空(レベル4)飛行の実現に向けてさらなる検証を重ねていきたい」と同社。荷物を運ぶ自動車を、バッテリーで飛行するドローンに置き換えられれば、排気ガスの形で排出されるCO2を削減することができ、またドローン配送では渋滞のようなものはなく、配送が効率化されることで、エネルギー総量が抑制されることも期待される。
