商船三井は10月16日、衛星通信サービスStarlink(スターリンク)を同社グループの船舶管理会社が管理する外航船233隻に順次導入することを決定したと発表した。
2023年度には、約140隻に導入予定。
<Starlinkの外航船上トライアルを実施>
Starlinkは、低軌道に展開された複数の小型衛星を使用した、高速で低遅延接続が可能な衛星通信サービス。同社は、複数の同社運航船においてトライアルを実施し検証を重ねてきた。その結果、通信速度が最大で50倍向上するなど、通信環境が劇的に改善し、これまで難しかった家族とのビデオ通話や動画の視聴等が可能となり、船員のウェルビーイングの飛躍的な向上が確認されたため、同社管理外航船への本格導入を決定した。
海運業界において船員不足は深刻化しており、船員は2023年1月の時点で、世界で必要とされる船員に対し1割不足している。こうした背景から、船員の乗船中のウェルビーイングの改善は急務と考えている。一般的な船上の通信環境では、プライベートでの家族・友人との連絡にタイムラグや容量制限が発生することから、船上の通信環境改善は重要な取組の一つであり、同社のみならず、業界全体で対応すべき課題となっている。
これを踏まえ、同社はMarlink AS(President Maritime:Tore Morten Olsen、本社:ノルウェー、以下「Marlink」、読み:マーリンク)とともに、既存の船上通信環境の課題、Starlinkをはじめとする低軌道衛星通信の概要、および、今後期待されるユースケースなどをまとめたホワイトペーパー(英語版のみ・要LinkedInアカウント)を作成の上、同社トライアルで得た知見を広く共有し、業界全体の課題への対応を積極的に働きかけている。このホワイトペーパーについては、投稿したLinkedIn上で期待のコメントや多くのリアクションを得ている。
同社グループは、通信環境が陸上と比較し著しく劣る海上において、高速で低遅延接続が可能な衛星通信サービスを活用することにより、船員の船上での生活の質の向上を図るとともに、今後、船陸間でのリアルタイムな情報共有を通じた運航効率の改善や船上トラブル発生時の陸上からの充実したサポートの提供など、海上のデジタル・トランスフォーメーションを更に推し進める。