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TDB/ゼロゼロ融資で「ゾンビ企業」増、運輸・通信は2位

2024年01月19日/調査・統計

帝国データバンク(TDB)が1月19日に発表した調査によると、コロナ過以降、「ゾンビ企業」が増加しているという。業種別では「小売」がトップ、「運輸・通信」は2位、「製造」と続く。地域別では「東北」が最も多い。

「ゾンビ企業」とは、国際決済銀行(BIS)が定める「3年連続でインタレスト・カバレッジ・レシオ(ICR)が1未満、かつ設立10年以上」の企業。TDBが保有する企業財務データベース「COSMOS1」(2023年11月末時点)でゾンビ企業率を算出すると、17.1%に上ることが明らかとなった。

<ゾンビ企業の定義>
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<ゾンビ企業率の推移>
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2007年度以降の推移をみると、2019年度の10.0%から、コロナ禍で上昇傾向を示していることが分かる。さらに2022年度の17.1%は過去10年間で最も高く、東日本大震災後の2012年度(17.0%)と同水準。「この結果、日本企業全体の約6社に1社で、企業の“ゾンビ化”が進んでいるとの見方もできる」と分析している。

<ゾンビ企業率(業種別)>
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2022年度のゾンビ企業率を業種別にみると、「小売」が27.7%と最も高かった。次いで「運輸・通信」が23.4%、「製造」が17.8%と続く。2021年度に比べると全業種でゾンビ企業率が高まっており、これら3業種は全体平均の17.1%を上回った。

従業員数別では「5人以下」が最も多く、全体の25.1%を占める。従業員数が少なくなるにつれて、ゾンビ企業率が高まる傾向もみられた。

地域別では、「東北」(21.3%)と「中国」(20.2%)がそれぞれ2割超。なかでも「東北」は、東日本大震災後の各種金融支援策の影響もあり、震災から10年経った今も、借り入れ負担が重荷になっている。

2022年度のゾンビ企業率17.1%を、TDBが保有する企業概要データベース「COSMOS2」収録の約147万社を母集団としてあてはめると、2022年度のゾンビ企業数は約25万1000社と推計され、2011年度に次ぐ2番目の多さとなる。

TDBは、企業倒産(2023 年=8497件)の約30倍まで膨れ上がった企業の“ゾンビ化”が進んだ要因のひとつに、コロナ過に実施された実質無利子・無担保の「ゼロゼロ融資」を挙げている。

ゾンビ企業の動向は、2024年の企業倒産動向にも少なからず影響し「金融機関の支援スタンスの変化次第で、倒産件数が大きく増えるおそれもある」と予測。「日銀が4月にマイナス金利解除に動くとの見方もあり、今後ゾンビ企業がさらに増加する可能がある」とした。

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