国土交通省は3月22日、運賃水準の8%引き上げや荷役の対価等を加算した、新たなトラックの標準的運賃を告示した。6月1日から施行される。
新たな運賃では、「(1)荷主等への適正な転嫁」、「(2)多重下請構造の是正等」、「(3)多様な運賃・料金設定等」を見直しの柱としている。
「(1)荷主等への適正な転嫁」では、運賃表を改定し運賃を平均約8%引上げるなど、運賃水準の引上げ幅を提示している。また、荷待ち・荷役等の対価について標準的な水準を提示しており、現行の待機時間料に加えて、荷役作業ごとの「積込料・取卸料」を新たに加算する。
「積込料・取卸料」は、公共工事設計労務単価表を参考に設定。中型車の場合、30分あたり単価で機械荷役の場合2180円、手荷役の場合2100円とした。なお、荷待ち・荷役の時間が合計2時間を超えた場合は、割増率5割を加算する。
「(2)多重下請構造の是正等」では、「下請け手数料」として運賃の10%を別に収受するほか、元請運送事業者が実運送事業者の商号・名称等を荷主に通知することを約款に明記する。
「(3)多様な運賃・料金設定等」では、共同輸配送等の実施を念頭に、貨物1個ずつに算定する「個建運賃」を設定。また、リードタイムが短い運送に対する「速達割増」(逆にリードタイムを長く設定した場合の割引)や、有料道路を利用しないことによるドライバーの運転の長時間化を考慮した割増を設定する。
国交省は、2023年8月から計3回の検討会を開催し、同年12月に「荷主等への適正な転嫁」、「多重下請構造の是正等」、「多様な運賃・料金設定等」を見直しの柱とする提言を公表。この提言を踏まえた告示の見直し案を2024年1月10日付で運輸審議会へ諮問しており、審議会での審理や2月29日付けの審議会からの答申を踏まえ、3月22日付で新たな運賃を告示した。
国交省/6月の鉄道貨物数量8.1%減、貨物トンキロ2.8%減